剣道家をめざすセンセのぶろぐ。

「師弟同行」教うるは学ぶの半ばなり、、、どちらもまだまだです。

2012年 剣道用具考 剣道論

子供の剣道具話…将来につながるショボさ!?:ヲタクっぷり[29]

少年用剣道具
少年用剣道具

子供の剣道具を考えることをは、剣道界、剣道普及のためのおおきな問題のひとつだとおもっています。
私自身がそこでの指導にほとんどあたっていませんので、机上の空論といわれればそうなりますが、、、同級生の友達数人のお子さんたちがなぜか剣道をし始め、この道具ヲタクに相次いで相談をもちかけられ、私自身がホントに勉強になったという話です。

厩舎が厩舎だけに、その友達たるや、ヨガやダンスを実践指導しているステキな方だったり、5つの輪っか大会に日の丸背負ったことのある方だったり、、、つまり、そのご子息・ご令嬢たちは剣道界として逃してはならないタレント(才能)である可能性もあるかと、わたくし的には変な期待をしたりしてます、アハハ。

過去に子供ということでなく、以下のようなポストを書いていますね(まだまだありますけど、、、 笑)。

> 拙ぶろぐ:剣道具の「おされ」:ヲタクっぷり[3]
> 拙ぶろぐ:剣道具の機能を引き出すために「着装編(1)」:ヲタクっぷり[4]
> 拙ぶろぐ:剣道具業界にサンタはいるのか?:ヲタクっぷり[11]
> 拙ぶろぐ:剣道にも不景気の波か???:ヲタクっぷり[20]

ただですね、、、これが子供の場合となると、発育発達する中で、、、うーん、ムズカしいですよね。

その同級生パパが言っていたのは、彼の競技で強国には「将来につながるショボさ」のある道具が作られているっていうんですよ!!!


まずおさらいとして、剣道具についての拙ポストでは、使いやすさ・安全性といった機能性の追求のためにはサイズがフィットして、着装が大切であること、さらには使い捨てはNG、相手とともに道具を大切にするという啓蒙をすべきと剣道に根付く教育的意義も道具からアプローチしてます
さらに、薄利多売の限界などを言いつつ、剣道具は自然の恩恵を受けてるのですから、材料そのものもいつまでもあると思ってはいけないでしょうし、他の動物の殺生の上に成り立っているということも考えるべきであろうということ、さらに、その作り手、職人さんがこのままではどうなってしまうのかという問題提起でもあります。

でもあらためて、ここで子供用、続けるかどうかわからない段階での初心者用のものというのは、、、あらためてやはりムズカしいです。

なんたって子供にいたっては、成長して大きくなったら、使えなくなってしまう、、、身長や体重が確定していない中での道具の選択、購入をしなくてはならないのですから。

まぁ、上記ぶろぐポストはあながち間違っているとは思いませんが、親の立場になって子供が使う道具というと考えてしまいますねぇ、、、
値段も、決して安いものではないですしね。

現在、剣道具業界も価格破壊というのが起きているのも事実です。
webで調べると沢山ありますね、、、営業努力といえばスゴいですが、上記ポストの薄利多売の限界からはやや気になりますし、もっと追求するところもあるのではないかと思うのです。

これはさておき、、、

他の競技では人間の発育発達に合わせた運動指導というのが、明確に展開する努力がされています。
以下、とくに、剣道のヒトは是非一読戴きたく思います。

> WASEDA CLUB:vol.34 身体の発育・発達に合わせたスポーツの指導法とは?

あえて、ちょっとだけ書きますが、まず人間の臓器別の発達をみる「スキャモンの発達曲線」というわれわれの世界では有名なグラフがあります。

スキャモンの発達曲線
スキャモンの発達曲線

子供の世代でみると、10歳くらいで、カラダ(一般型)は1次的な成長をして安定している時期に、神経系成人並みに発達しているんです、、、この時期はゴールデンエイジといい、あらゆるものごとを短時間で覚えることのできるという「即座の習得」が備わっているといわれています。

ほかの時期は以下のようになり、そこでの運動経験がその後の人生の運動能力に影響をおよぼすわけです。

プレゴールデンエイジ(〜8・9歳頃)〜スポーツの楽しさを伝える〜
ゴールデンエイジ(9〜12歳頃)〜実践的な技術の定義〜
ポストゴールデンエイジ(13歳頃以降)〜より個人に目を向けた指導〜
インディペンデントエイジ(15〜16歳以降)

また、これらの成長と運動能力の発達の状況が次の図になります。

ぜひ、指導者のみなさまには参考にしてほしいなと思います、、、なにをターゲットとすべきか(※注 個々の成長の度合いはそれぞれです)。

運動能力や体力はいつ発達するのか(宮下,1980)
運動能力や体力はいつ発達するのか(宮下,1980)

ここで、、、剣道はスポーツではないと言われる方もたたおられますし、これに剣道を合わせる必要もあるとは思っていません。
競技選手としてのピークも他のスポーツとくらべたら、やや高齢ですし、剣道の伝統的な稽古形態とはそぐわないところがあることはわかっています。そして、剣道はある意味、基本の追究であり、稽古としては同じことを繰り返しているともいえます、、、それはそれでトレーニングの原理原則からも重要なことなんですけどね(下記、拙ぶろぐ参照)。

> 拙ぶろぐ:「基本」:剣道の‘教え’を考える[2]
> 拙ぶろぐ:「守破離」:剣道の‘教え’を考える[4]

ただ、ポストゴールデンエイジ、、、ここではクラムジーの出現、中学になるという環境そのものの変化という問題点もあります。
そこで子供の状況の変化に対応しない運動指導をすれば、それによって運動離れ、剣道離れを起こしている可能性もあるのです。
ぜひ、同じような指導内容をするなかでも、指導者にはもろもろと配慮をしてもらいたいと思います、、、はい、私もまだまだです。

この発育発達にあわせた剣道指導ということですが、、、以前関わっていたとある剣道の指導者養成事業の内容でも曖昧なままですし、剣道界でもあまりうたわれていないような気がします。
つまり、剣道界の指導法や普及にとって大きなテーマになるかもしれませんね。

これはわたし自身、子供の頃にあまり剣道をしっかりと仕込まれていない駄馬としては、いろいろと考えてみたいと思いますし、指導者からの指導経験をしっかりとまとめて競技全体としてなんらかの情報提供もあるといいなぁと思っています。

さてさて本題、、、冒頭に書いた「将来につながるショボさ」のある道具とは???

ある競技の指導者であり、世界を駆け巡っている友達からのメールで気になったことなのです。
彼曰く、子供にたいして、高価な道具はたしかに早く走れたり、滑れたりする結果を出すようです。
しかし、それは道具に走らされたり、滑らされているだけで、基本的な操作を覚えられないという問題があると。
さらに、、、では安いものでいいかというとそうではなく、「将来につながるショボさ」が望ましいと。

彼の専門とする種目の強い国では、そういうことを意図したシューズが売られたりしているようです。
その一方で、日本の指導者や親はそういったモノには関心がなく、高価な、早く一定レベルの結果を出すものを、ヘタすると半年くらいに買い換えてると。
これは教育的にも、競技力的にもどうなの、、、ってスゴい情報を教えてくれました。

じゃぁ、、、剣道具では???

まず、剣道の競技力は、他の競技と違って「競技力=時間・距離」などというシンプルさはないです。
また、道具の操作に関しては竹刀の操作が重要な課題となりますが、移動する動作と伴うこと、速いに越したことはありませんが、速さが全てではありません。
竹刀を介して有効打突をねらうものであり、剣道具はそのそもはプロテクターでありますし、竹刀操作するのに少々邪魔であるということもプレーヤーの中には織り込まれているかもしれません。

剣道の技術となる場合、竹刀という道具は身体的な発育発達に合わせるように、3尺6寸(小学校まで)、3尺7寸(中学)、3尺8寸(高校)3尺9寸(=120㎝以内、一般)と長さの上限がだんだん長くなります。
※それにより、重さの下限も決まっています。

ということで、やや長く・重くなっていく竹刀を振るという運動課題がメインですが、長さ、重さをそろえても、こまかいことをいうと、竹であり、自然のものですので、まずここが等質のものをずっと振り込むわけでないということもあります。
この振り方をいろいろと出来るように、つまり素手で握っているように握れるコテや着けていないような剣道具というのが、一番の理想ですが、子供用・初心者用の剣道具には求められるのかもしれません。
つまり、「ショボさ」は剣道では必要ないかもしれません、、、そもそも、ショボい技術をどんどん高めていったうえで、対人的な問題をさらに高めないといけないわけです。
いわゆる「攻め」による「機会」のつくりかた、とらえかたが重要になってくるのですから。

もし道具についての「ショボさ」があるとしたら、コストカットのため、材料とかですることでしょうかね、、、これが最高という道具を子供、初心者だからこそ与えてもらいたいものですよね。
まぁ、不自由さがカラダの動かし方を考えるということもいえないではありませんが、、、本質ではないと思います。
成長を見越して、大きい道具を使うのも本質ではないですし。

もしものはなしですけど、、、将来、先ほどの年代別にしっかりと指導方針が提示されたときには、もしかしたらその方針をパフォーマンスとして表現していくための推奨の道具なんて出てくるかもしれませんね。
どうなんでしょうか???

まぁ、やはりいつものごとく、答え・まとめなしで終わろうとしてます(笑)

とにかく、初心者や子供用の剣道具もサイズが合わなくなった道具を道場やクラブチームで再利用していくというシステム構築も必要でしょうね。
もうすでに、道場、クラブチームなどによっては展開されていますよね。
でも、これって、道場だけではなく、剣道具業界もしくは各連盟でおこなって、子供たちの剣道への導入へは道具の費用負担を少なくしていく方向にならないかなと思うんです。

そうすれば、使い捨てに対する啓蒙も、借り物であることによるものを大切にするという教育なども展開されますしね。

いろいろと考えると、本当にまとまらなくなります。
まとまらないまま、終わりますね、、、いつものとおりでスミマセン。
いろいろとどうしたらいいか、ご意見ご感想ありましたらお教え下さい、よろしくお願いいたします。
(商売の邪魔ということにかもしれません、おゆるしあれ)

ちなみに情報提供ですが、、、
以下に、連盟が平成20年に全国剣道人口調査をしたときの簡単な結果を公開しています。

> 全日本剣道連盟HPより:寄稿「まど」平成20年05月号 第250回

やはり剣道界は、少年剣道に支えられていると言えましょう。
そして、初段登録人数をみた場合は減っていると平成20年時点ではいえないようです、つまり剣道は少子化の中でも頑張っている競技とも言えますね。
ただ、少子高齢化という波はきていることは間違いないと思いますし、その影響をうけることは間違いないと思います。
こんな時期だから、しっかりと入り口部分の対応をしておかないといけないのかもしれませんね。

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