剣道家をめざすセンセのぶろぐ。

「師弟同行」教うるは学ぶの半ばなり、、、どちらもまだまだです。

2013年 剣道論

「中心」:剣道の‘教え’を考える[8]

後述「攻め」の本からの抜粋

「攻め」という剣道ではとっても難しいことにほんの少しだけ立ち入ってみたいと思います。

 

「中心の“中”には、“あたる”という、、、」

 

つづきは後述しますが、スゴい心に染み入る言葉を伝え聞きました。

このとある大先生、わたしにとっては大先輩となりますが、、、こういう話は後輩には伝わっていないなぁ。

こういういい言葉を剣道界は蓄積して行かないといけないのかもしれません。
剣道界の世代交代とでもいうのでしょうか、昨今、いわゆる戦前に剣道修行されていた先生方がおられなくなってきていますから。

 

さてさて、剣道の指導、教えではいつころからかわかりませんが、「中心をとる」とか「中心を割る」というように、「中心を攻める」ということがよくいわれます。
ウィキペディアが絶対ではないですけど、、、「中心」や「攻め」という言葉について、簡単に調べると以下となります。

> ウィキペディア:中心
中心とは一般に図形のちょうど真ん中に位置する1点のことをいい、円や楕円、球などの図形では重心に一致する。・・・

> ウィキペディア:攻め
攻め(せめ)は、戦争・試合やゲームにおいて対戦相手を攻撃して利を得ること。・・・

 

では、剣道でいうところの「攻め」とは、、、いろいろとありますが、以下の文献では下記のように説明をしています。
かなりスッキリした捉え方だと思っています、、、ここでは方法論といった具体性はわかりませんけど。

> 剣道を知る事典:攻めと先(p70)
相手と構えた近郊の状態から、有効打突に結びつけるために、自分が有利に打突の機会を見つけるための手段である。

剣道界でよく言われている、「中心」ということが、「攻め」の方法論や手段ということになるのでしょうか???

 

じつはわが師匠である先生の剣道界の名著ともいえる、「攻め」の定石を書いた本があります。
すごいタメになりますし、未読のかたは是非読まれたほうがいいとおもいます。

ただ、当時すごい売れたそうですが、今後売れても売れても、、、
実は「およげたいやきくん」システムであることはナイショです。
リアルに紹介しても、師匠はよろこんではいただけないのかもしれませんので、ここでは本の名前は掲載を控えたくおもいます(笑 もうわかってる…???)

さて、この本、最初の章から以下のようにつづきます。

第1章 中心をとるための基礎動作
第2章 中心を攻めて打つ

つまり、中心をとる動作は非常に必要であるということ、基礎ということも言えましょう。
この本のここで出てくる「中心を攻める」ということは、基礎の段階では「突き」に向かっての方向に剣先を向けることとしています(冒頭の写真)。

これは竹刀という長さのある道具を相手に向けて対峙して構えて行う競技形態上、その道具をベクトルにみたて、その方向性と、人間の心理的作用、剣道で言う「四戒(驚・懼・疑・惑)」との関連から、打突に結びつける手段と「攻め」とするのでしょうね。
手段として、競技力の観点からは「心技体」の作用がありますが、竹刀を介しての打突動作で勝敗を決しますから、なおさら、打突の前段階を「攻め」として、剣先の動きが重要視されているとも考えられます。
これは、とある範士が「打突するまでが剣道、打突をしたら運動」といったことにも合致するかもしれません。
そして、その基礎が「中心をとる」と。

ただ、竹刀を押さえたり、払ったりする「攻め」、、、これは竹刀の中心=重心を、、、いやいや、それはないな。

さらにです、、、一点であればいいものを、剣道界では「中心線」といったりします。

用語として、「中心」は「点」です!!!

剣道界のかなり無理あるテクニカルタームのひとつ、、、と、このへそ曲がりは思ってたりもしたんです。
いつかは「面」になるかもしれないくらいに(冗談です、すみません)。

※ただ、眉間や咽喉部、鳩尾、臍、急所といったところに剣先をむけられれば、やはり恐怖心があるのは事実です。

さらに、方法論に踏み込んでいくと、上記の「攻め」の定石を書いた文献にも「面を攻めて」「小手を攻めて」などとでてきます。
そして、そこからの相手動作のパターン化、、、明らかに作戦や戦術になってきます。

ますます「中心」というのがどこなんだろう、、、という自問はずっと続いていて、なかなか自分で指導するにも、実践するにも使うことのできなかった剣道用語だったんです。

でもでも、、、

その大先生のお話を伝え聞きました。
すごく感動しました、以下です。

「中」を「あたる」、「心」を「こころ」と読むんです!!!

 

「中心の“中”には、“あたる”という意味があり、心にあたる攻めを考えて行かなければダメです」

 

はい、言わずもがなです。
そんな「攻め」をしてみたいものです。
簡単なもんです、へそ曲げてる場合じゃありません、、、「中心を攻める」剣道を目指します!!!
心底、「中心を攻める」という剣道をしようと、今更ながらにして考え始めました。

こうなると基礎的な動作としてますけど、「中心」をとることが「基本」、剣道の真髄なのではないかと考えています。

> 拙ぶろぐ:「基本」:剣道の‘教え’を考える[2]

ホント、なさけないくらいまだまだです、わたくし。
ご指導のほど、よろしくお願いいたします。

 

そして、ちょっと余談かもしれませんが、、、

だいたいにして、仕事上、熱中症のことを話します。
これは、一生懸命、熱中してなる症状じゃなくて、「熱に“あたる”症状」だと話してるのに、、、

剣道でこういうステキな言葉の変換ができなかったのが、悔しいです。

 

ちなみに、熱中症、いまは大変な時期です。
過去のポスト再掲しておきますね。
これも剣道するヒトはぜひよんでおいてもらいたいなと、、、参考になればとおもっています。

> 拙ぶろぐ:そろそろ夏、、、剣道人、夏の必読話?!

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1 コメント

  1. いつもながら溜飲が下がる解説をありがとうございます。少しずつ剣道モードになりつつある中年焦燥剣士です。攻めの本、剣道再開時にじっくり読ませていただきました。素人剣士の理解が及ぶ範囲は浅く、今回の中心の意味、TKBはやっぱりすごいなぁと思う次第です。
    攻めについての質問です。先生もご存知の先生(イニシャルも書けませんが)と稽古の折、「お前はなんで攻めてこないだ。どっちが先生かわからんだろう。」とお叱りを受けました。素人剣士的には一所懸命、そう思われないよう気持ちを当てていたつもりなのですが心にあたっていなかったのですね。と、反省なのですが、腑に落ちないところもあります。先生が攻めて来られたところを懐に引き込むように往なして攻めに転じる、ような(生意気ですが)そういう攻防があったと思います。これはその先生の得意技でもありますね。
    で、是非とも教えていただきたいのですが、高段者の先生に失礼にならないような掛かり方です。剣道には段に由来する格があることは確かですが、段イコール実力(定義が難しい)ではないことは事実です。しかし取得段イコール修行の長さでもあり、尊重しなければならないと思います。
    ナンセンスな質問で申し訳ございませんが、ヒントでも頂ければと思います。

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