剣道家をめざすセンセのぶろぐ。

「師弟同行」教うるは学ぶの半ばなり、、、どちらもまだまだです。

2015年 剣道論

剣道のルールに思うこと[5]:反則とポイント

「モンダイアリ・デ・剣道」ではないですから。
「モンダイアリ・デ・剣道」ではないですから。

現行のルールは反則を2回すると1本相手に与えられます、場合によっては即座に負け、退場などとあります。

さてさて、かのチャンプはとってもダイスキな人間のひとりです、ステキなヤツなんです。
しかし、かなり批判、誹謗中傷という感じのカキコミもいっぱいみて、剣道がイヤになってるのもあります、、、、ガス抜きさせてください(いつも抜かせてもらってますが 笑)

 

批判だけをただしても自身のスキな剣道を批判してることになるので、そうはならないように少しでも前向きの案を考えたいと、、、

最近では、WとKのたたかいも反則で勝敗が決したようです。
また、先日の学生の若者大会も最後の勝敗を決する試合に鍔競り合いが多いため、主審が両者に反則を取ろうとするから、また反則で勝敗が決するんじゃないかとドキドキしていました。
審判もイタチごっこになるのはイヤですが、昨今の試合では、鍔競り合いの反則によって鍔迫り合いはしない、技の出現の活性化になるだろうというより、鍔迫り合いでさらに反則を狙おうということの方向も出てきていること、トレンドもすこし理解しておいたほうがいい感じに見えます。

 

今回の書きたいことはつまるところ、、、技で勝敗がもっと決まるようにするにはどうしたらいいのかなってこと。
武道は端的に言えば技の完成度を求めるものでしょうから、技で勝敗が決しないとつまらないって話になるのは至極当然ではありますからね。

しかししかし、何度も言いますが、ルールがあって競技をしているわけですからねぇ、、、選手批判をするよりそこを考えるのが大事ではないかなと。
現在は、いろいろとプレーヤーやレフリーに規則の解釈やその運用を通していろいろと規制していますが、そろそろ限界なのかもと、、、僭越ながら考えています。

 

そこで案として、、、以下を軸に考えてみたいと思います。

 

反則とポイントを分けて考える

 

そうです、「2回で1本という反則でスコアになるシステム」について考えてみたいと思います。

話はすこし変わりますが、冒頭の写真は、以下ポストにも書いたと思いますが、15WKCイタリア大会終了翌日のイタリアの新聞です。
「世界剣道が成功した」ってタイトルなんだけど、「モンダイアリ・デ・剣道」って読めます。

この大会では某国の礼法の問題がいろいろと批判された大会であったし、それからも含めていろいろとがあるんだろうなって思い出すところもあって、再掲してみました。

> 拙ぶろぐ:出張報告…15WKC観戦記ではありません、たぶん。

 

さぁ、どういうことかというと、以前下記ポストに書きましたが、まず剣道の規則は競技としては根本的に曖昧さがあります。

> 拙ぶろぐ:剣道のルールに思うこと[3]:ポイント制と時間制

現行のこのルールで、3本勝負というなかで、この勝敗について単純計算をすると、、、(単純計算ですからツッコミどころありすぎますけど 笑)
1本先取した場合、そのまま1本勝ち、もう1本追加で勝ち、取られても取り返して勝ち、あとは団体戦とかで取り返されて引き分けもあるけど、負ける(2本取り返される)のは20%。
つまり、3本勝負といっても、実はその1点のウェイトは非常に高いのです。

反則で生まれたとしても、そのポイントを死守するのは、選手として当然でしょうし、2本取り返すチャンスはないとは言えないけど、期待は薄くなりますよね、、、
結果的にはポイントがあると一本勝ちを狙うように時間の空費を呼ぶということにもなりますしね。

そして、審らかに判定する立場になって考えても、こういう単純計算でも1本の重みというのがありますし、0.5点である反則はなかなか出し難いってのも、審判員の心情ではないでしょうか。
現行の試合審判規則の反則関連のところは、一番最後に掲載しておきますが、、、
そもそも反則は、どちらかが悪いことをしたから「反則」があるわけです。

両者に同時に反則が与えられるのは、柔道などもありますし、武道の特徴かもしれませんので、ここに関しては今回は触れません。
ただ、反則そのものが、例えば柔道では最終的な判定におけるポイントとなってしまっています。
同様に剣道でも、だんだんポイントと思われていることが問題であるのではないかということを危惧しているところなんです。
そこで、反則を何回かしたら1本というシステムではなく、あくまでも1本は技で生まれ、反則とは分けて考えるといいのではないかということです。

 

反則4回した者は、負けとし、相手に2本を与え、退場を命ずる。退場させられた者の既得本数、既得権は認めない。

 

ここの、退場として大会を出られなくするのか、その試合だけかは今後また考えたいと思います。
また、「4回」というのも「3回」でも「5回」でもいいかもしれません、、、あくまでも今のところ、ここらへんかなぁって数字です。
これは柔道の現行のルールに似ているかもしれません。
柔道の場合は最後の判定のポイントになっているので違うといえば違うかもしれません。

ただ、この方式に倣うと、非常にウエイトの高い1本を反則2回だけで与えてしまうということがなくなりますし、審判としても反則を出しやすくなります。
そうすると、反則が多くて負けにはつながらないって話でもなくなってきます、、、反則が簡単に出るようになれば、負けも生まれるでしょうし、教育的な意義も強くなれるようにもなると思うんです。

さらには、反則によってポイントを取って勝ったというより、反則を与えられて負けたという恥の文化の日本人にはたまらなくイヤなこととなり、選手にも、判定する審判にも良い方向になるんじゃないかなぁ。

つまり、悪いこととしての反則と技の完成度については、わけて考えるとスッキリするんじゃないかなって思ってるわけです。

一見、厳しいような、甘くなったような、どっちとも取れる案となりますね、、、
でも第18条・第19条では1回の禁止行為で既得本数も既得権も認めずに負けとしているわけですから、現行の第20条自体は甘い措置だったのかもしれないですね。

 

 

そして、もうすこし、今回書いておきたいのは、反則自体をもう少し検討してもいいのかなと、、、前述の反則をとりやすくするってのと連動して。

 

たとえば、いま批評の的となっていますが、竹刀を落とす行為。

これがダメなら、払い技も、打ち落とし技も説明が成り立たなくなりますよね?
道具を効かなくなることはとてもいいことのはずです。

先の案で、反則とポイントと連動が薄くなれば、反則を取ればいいんです。

どうやってかということでいえば、、、以下以外にないと思います。

「刀の観念」

鍔迫り合いなど間合いが密着したところから、自らのほうに相手の刃を引く行為(昨今の話題の反則とか、打った後のもみ消しとか)、鍔競り合いで技を出させないように自身のほうに刃を引き込む行為などは刀法として自らに危険な行為となるわけです。
強いては、鍔迫り合いなどで、竹刀を相手の肩にかける・かけられるということもありえません、、、ここらへんを厳しくすると、裏交差で刃部を自らの体に近づけないようにするのは至難の技です。

また、峰を使うということも、刀という道具自体の構造からも問題があると思います。
うまい表現はできないけど、鋼と軟鉄を組み合わせているから、刃の部分と峰の部分では役割が違うし、峰に仕事をさせると、最終的には折れやすくなるんじゃないかな。
だから、道具として鎬を使うのが重要といわれているんで…峰は使うなってこと、反則でもいいわけで。

そんなになると、剣道形4本目の切り結んで相打ちになった後の鎬を削るような間の取り方や鍔迫り合いがそこここに見られるやもしれません。
また、いわゆる現代的防御とかいうより、ディフェンスも手元より先で刃部を捌くようになるかもしれません。

 

それから、これも反則にしていいんじゃかなってことがあります。
先般の見ていた試合も、それで中断しすぎです、、、以下です。

・面が外れる

これは状況にもよりますが、これが外れるということは安全管理を行っているということです。
そしてさらには、時間の空費にも思えてなりません。

反則でいいんじゃないかなぁ、、、というか反則にしてほいい。

これはヲタクの観点からは、剣道自体もよくなるし、剣道具業界も良くならざるえないこととなるから、ぜひ厳しくしてほしいなぁ。
あ、この観点からは、以下も同様です。

・面紐、胴紐、小手紐がほどける
・小手の手の内がボロボロ

ルールありきのものになってるんだから、その運用とか、意識に落とし込もうとするのは限界だってことだよね。
反則をとりやすくその一方でポイントとはしないシステム、ちょっと変えてみてはどうかなぁ、、、どうやっても技で雌雄が決する剣道を応援したいから。

 

以上、ただの戯言かもしれませんね。
ちょっとガス抜きをさせていただきまして、お付き合いいただいた方には本当に御礼申し上げます、、、もっと勉強しよ。

 

 

 

 

 

<剣道試合審判規則から抜粋>
第3章 禁止行為
第1節 禁止行為事項

[禁止物質の使用・所持]
第15条
禁止物質を使用もしくは所持し、または禁止方法を実施すること。

[非礼な言動]
第16条
審判員または相手に対し、非礼な言動をすること。

[諸禁止行為]
第17条
試合者が、次の各号の行為をすること。

1.定められた以外の用具(不正用具)を使用する。
2.相手に足を掛けまたは払う。
3.相手を不当に場外に出す。
4.試合中に場外に出る。
5.自己の竹刀を落とす。
6.不当な中止要請をする。
7.その他、この規則に反する行為をする。

第2節 罰則

第18条
第15条、第16条の禁止行為を犯した者は、負けとし、相手に2本を与え、退場を命ずる。退場させられた者の既得本数、既得権は認めない。

第19条
第17条1号の禁止行為をした場合は、次の各号により処置する。ただし、両者同時になしたときは、両者とも負けとし、それぞれの既得本数および既得権を認めない。

1.不正用具の使用者は、負けとし、相手に2本を与え、既得本数および既得権を認めない。
2.前号の処置は、不正用具使用発見以前の試合までさかのぼらない。
3.不正用具の使用が発見された者は、その後の試合を継続することができない。ただし、団体戦における補欠の出場は、別に定めのない限り認める。

第20条
試合者が第17条2号ないし7号の行為をした場合は、反則とし、2回犯した場合は、相手に1本を与える。反則は、1試合を通じて積算する。ただし、同時反則によって両者が負けになる場合は相殺し、反則としない。

②第17条4号の場合、両者が相前後して、場外に出たときは、先に出た者のみ反則とする。
③第17条4号の場合、有効打突を取り消したときは、反則としない。
④第17条5号の場合、その直後に相手が打突を加え、有効となったときは、反則としない。

 

 

 

 

 

<2015/12/7 ,12/14追記>

柔道GS東京2015最後の試合前
柔道GS東京2015最後の試合前

柔道は「反則」ではなく、「指導」ですね。
「指導」が積み重なって「反則」負けになります、「反則」は一発で負けをくらいますし、剣道より出現してました、、、2015グランドスラム東京を見てきて勉強しましたので、ちょっと追記というか修正しておきます。

そして、柔道の表現は、一理あるかもしれませんね。
剣道でも以前、鍔迫り合いは「注意」でしたけど、「指導」とか「指導」として、その累積で「反則」となったら勝敗が決する、つまり「反則」してはならないという表現にしてもいいかもしれないですね、、、
「◯回までは反則していい」なんて、読み方するのは本質的にとてもナンセンスですしね。

ただただ、写真のような大会を見てきて、やっぱり武道としては、技で勝敗が決まらないってのは大問題かもしれないというのを観て感じたもの事実です。
他のスポーツは1点の重みとかは違うにせよ、結果的に技で決まりますから、、、

反則のとり方も技だとかいわれたら、身も蓋もないんですけどね。

 

 

<2016/8/13 追記>

リオ・オリンピック柔道をデシ仕込み合宿の合間に見てました、、、疲労困憊のオジさんにはちゃんとは見られませんでしたが。

結局、柔道の場合、指導が勝敗のポイントになってしまうので、技で勝敗の決しないことが多々ありました。
このポストは逆に指導は出すけど、それは競技上でのポイントではないというような、剣道の反則があってもそれが累積してポイントになってない状態なら延長に入るというようなことを見習って欲しいなぁと思ってました。

大会の運営などは大変になるでしょうし、選手も大変になるかもしれません、、、ただ、それでも技で決まってほしいんです。

ルールって難しいですね、それぞれ意図しない方向に行ってしまうこともありますし。
そして、それを内野も外野もいろいろと言って、言われてしまってますから。
次によくなるためにはってことで、みんな考えていくしかないんじゃないかな。。。

柔道JAPANには知り合いがサポートで絡んでたりしますから、とにかく「ごくろうさまでした」としか言いようがないです。
本当に毎日、柔道のニュースが聞けたオリンピックをありがとうございました!!!

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