剣道具の「飾り」の意義:ヲタクっぷり[24]

大英博物館蔵の剣道具(日本武道学会剣道専門分科会HP より)
大英博物館蔵の剣道具(日本武道学会剣道専門分科会HP より)

2020年東京オリンピック招致のためのロゴが昨日発表されましたね。
桜だそうです、、、こうやって日本の風情は伝えられているんですねぇ、後述します。

前回のぶろぐでは、最近の礼に無駄があるかもと書きました、、、ここから今回の続いたのかな?

剣道において、「無理、無駄、無法」がないようにという「三無の剣」という‘教え’があります。
これは道具、剣道具にもあてはまるものではないかと思っています。

剣道具の装飾に関することは以下に書いています。
剣道具の装飾は、面・垂の布団、小手の頭、胴胸、面の顎などにある糸飾り、革のカットやまつりの仕方、蜀江(いろいろな表現はありますが、胴胸や面の顎の模様)、胴台の塗り、などでしょうかね。

> 拙ぶろぐ : 剣道具の「おされ」:ヲタクっぷり[3]

その中から、今回は、剣道具における「装飾」の糸飾りである「飾り」に着目して、写真をまじえ、どうやってつくられ、どういう意義があるのか、書いてみたいと思います。
「飾り」といえど、実用性のあるものであり、それこそが本当のおしゃれだと思っています。


そもそも、蜀江にしても胸・顎の表革と芯材を縫いつけることがメインの役割で、そこに滑り止めという「防具」としての要素、動きを出すための「道具」としての要素が入り、さらには、おしゃれの要素である模様があしらわれるようになっていったものと言えます。
また、布団における革のカットにしても、補強のための革などのあてるものに模様をつけたということになり、やはり実用性がさきにありますし、それが、あまりにも細かい模様があれば、それは本末転倒になることもあるんです(前述のぶろぐ参考)。

飾りの工程
飾りの工程

布団や胴胸、面顎の「飾り」は写真のように入れられていきます。

手芸でいうところの、チェーンステッチをして、そのチェーンの間を針をいったりきたりして(すみません、完全素人観察)、編みあげていくのです。
※右写真の左は本線というチェーンステッチ、右が「飾り」の完成。
その通し方で、「三つ飾り」(多くはこれです)や、より高く盛り上げる方法の「四つ飾り」があります。
また、少々手順は違いますが、「中掬い」(盛り上げない飾り)や「杉飾り」(幅を出さない細めの飾り)もあります。
素人がやると、飾りがまっすぐになりません、がたがたになるのです、、、キレイにつくるのは、どれも簡単ではありません。

四つ飾り:こんなに盛り上がります
四つ飾り:こんなに盛り上がります

なにも知らなかったときは、少年用剣道具とかの安価なものにあるようなモールというようなあらかじめできている「飾り」を縫い付ける方法を、どの防具にもしていると思っていたのですが、、、ホント手間がかかっているんです、一針一針。
こうでなければ、取れやすいものとなってしまい、後述のような機能を発揮することはありません。

さらには、一針ごとに糸の撚り(より)をうまくやらないと、飾り自体のツヤにも影響があったり、、、ムズカシイんです。
また、緩くしすぎると「飾り」が動きます、、、機能については後述しますが、動くところの「飾り」はある程度動くのもいいですが、ストッパーとしての部分はしっかりと、場所によって「飾り」の入れ方にも塩梅があるんです。

しかり最近ではココらへんの上手さというのを感じている人は少ない、、、
とくに海外生産の胴胸などでは、うまく作る人とうまく作れない人が混在しています。
安いものでもうまく作る人にあたれば、上手い作になり、逆にいい材料で高いものなのにちょっと残念なものがあったりします。
ここらへんの技術の格差をしっかり見極めて、商品の格差をつけてもらいたいと思ってもいます。

さて、前述のとおり、「飾り」の機能については、竹刀の接触のあるところの流れを止める役割であったり、何段かになっている段飾りは滑り止めだけでなく、程良い動きを出すために入っています。

胴胸の雲飾りや面の顎のバッテンについては、竹刀が流れていけば喉などに入る危険性があるので、まさにすべり止めということになります。
ですから、のべ刺し(ベタ刺し)という胴胸は、道具としてはやや機能性を欠くということになります。
大昔は安価に多く作る手段だったと思いますし、それが、現在ではひとつのファッションとなっているということですね。
まぁ、、、わたしも使っていますwww

そして、垂の段飾り、面の顎の段飾りについては飾りのあいだに綿を仕込み、その飾りの入れ方の力加減や仕込みの量の加減によって、必要な動きを醸しだすように設計されています。
硬さも必要だが動かないといけないとか(顎)、柔軟で衝撃緩衝能力ももちつつ、いろいろな方向に動くようにしたい(垂、小手の手首)など。
これは、胴胸の飾りの周囲にも同様のことが言え、その動きがあることによりカラダになじんだり、柔軟性や竹刀の打突〜胴胸〜身体へという衝撃を身体に伝わるまでに緩衝することもあるといえましょう。
のべ刺し(ベタ刺し)だと、芯材がおおくなり、胴胸の周囲に綿を仕込むことは難しくなるため、この機序は機能しません。

ただし、、、ひとつだけ、、、、面布団の飾りはいまひとつ説明がつきません。
大昔にはこの飾りはなかったとも言われています。

また、無駄な装飾的な飾りは論外かもしれませんね、、、飾りのための穴をあけることすら材料、そして道具の強度を落とす可能性もありますから。

では、、、おしゃれの話に。
胸の「飾り」をとりあげると自然の模様をかたどっています、、、「雲飾り」、「雲型」ともいいますよね。
それも、自然のものなどからかたどっているからなのです。

写真を参照してください、、、「雲」とか、「松」とか。

雲飾り(東京S雲飾:いろいろな名称がありますが、、、)
雲飾り(東京S雲飾:いろいろな名称がありますが、、、)
三階松といわれるもの(京都の逸品:泉皓作)
三階松といわれるもの(京都の逸品:泉皓作)
同じ松でも関東松飾りといわれるもの(関東の逸品:高山長吉作)
同じ松でも関東松飾りといわれるもの(関東の逸品:高山長吉作)

こうなってくると工芸品ですね、、、盆栽とか見ている気分にもなります。
でもあまり複雑になりすぎ、グチャグチャすぎるものもありますよね、かえって竹刀が流れるんじゃないかなというような。
また、剣道の動きの想定もしていない、竹刀が胸から流れそうな、機能性を失ったものもありますね。
個人的には、どうも好きにはなれません。

さらに豆知識ですが、胴胸の真ん中の飾りの部分は、「獅子鼻」とも呼ばれています、、、冒頭の写真の胴胸はここが大きいですね。
この存在感のあるものもキライではありません。

この記事の冒頭の胴の写真ですが、、、これは、戦前の古い道具で、グロースター公爵家に寄贈された剣道具が、大英博物館に展示されているものの写真です(以下参照)。

> 日本武道学会剣道専門分科会 KENDO ARCHIVES:コラム「大英博物館蔵の剣道具」

上記記事のすべての道具もヲタクにしてはとても萌えるものばかりですが、ここでは「飾り」がメインですので、、、
実に雲飾りも蜀江も、質実剛健、、、そして、ムダのない機能性の高さを感じますね、いいですねぇ(⌒¬⌒*)

前述のとおり、デザインのことを見た場合、あまりにも勝手なで、人工的なものは個人的にはキライです。
また、勝手な生き物を取り上げてみたりするのもです、、、たしか蝶とかいろいろとあったかと思います。

昔の武将は、トンボは退くことがないので「勝ち虫」といって好んだり、桜はパッとキレイに咲いて、さらには散り際がイイと好んだとのことで、いまだ現在にわたっても、トンボや小桜の柄が使われているのです。
こういうことはぜひ受け継いでもらいたいですよねぇ。

FNNニュースより
FNNニュースより

とおもっていたら、冒頭にも書きましたが、2020年に東京オリンピック招致委員会が大会のロゴマークを発表しました(右写真参照)。
桜です、、、とあるかたはハイビスカスみたいとも言ってました(汗)
散り際ってのも表現して欲しかったなという個人的な意見はあります、、、
ただ、その「散る」というのが招致委員会にとってはいい表現ともいえませんし、その散り際のよさが世界に通じるものであるかはわかりません、、、あくまでも個人的見解で。
でも、こうやって「日本」 にということを考える場合に、それが武道でなくてもこうやって歴史ある事実に向き合うわけです。
ぜひ、武道をされる方には、世界基準とか世界標準とかも大事ですが、こういう自国の文化の大切さもみにつけてもらいたいものですね。

となると以下のぶろぐは改めてみてほしいなと、再掲しておきます。

> 拙ぶろぐ:剣道ってすばらしいのか?!

まぁ、、、根本的に新しもの好きのわたしがいうのも今ひとつ説得力がありませんけどね。

今回は支離滅裂ですけど、「飾り」をテーマにしてみました。

 

 

さて、余談でIMG_1265す。
滑り止めという話からなんですが、、、滑り止めにならないといけないところ、引っかかってはいけないところというのがあると思います。

たとえば、面の引き革。

これはまず、面紐(これ自体、組紐ですから柔軟性があります)と相まって、顔面への締め付けたなかでも、少々の動きができるようにするためのもの、締め付けを緩和するためのものといえましょう。
なお、引き革が長くて面布団の革・織地をはみ出すようなものは、擦れることへの配慮がなされていないといえます(面布団の革や織地はスレなどへの対応でもありますからはみ出ると布団部分がより磨耗しやすくなります)。

この引き革に刺繍をしたり、縫い合わせて分厚くしたものは、ナンセンスです。
突きなどに来た剣先が引っかかって、安全性を欠く可能性があるといえましょう。
さらに細かいことをいうと、その引き革の重ね方も、上側が上になると、突きは下から来ることが多いため引っかかる可能性は、下側を上にした場合よりあると考えられます。
したがって、右の写真のように、平打ちのもので、下側が上にかさなるようにつける、そう、できるだけじゃまにならないような引き革の付け方に理があると思っています。
こんな変哲もないものをカッコいいと思っていたりします、、、ヲタクのこだわり、みたいな話ですね。

まぁ、おしゃれ(?)を規制するつもりはありませんけど、、、このヲタク的には、Simple is Bestということで。
とまぁ、このネタにとっては関係ないかもしれない余談でした。

さてさて、あえてむすびに書かせてもらいます。

 

最近「ブログを見てます」と、色々な方に言われます、、、が、あくまでも匿名です!!!
バレバレなのはわかっていますが。
でも、ぜひ、声をかけてくださいね、、、シブい対応しかできませんけど、ホントによろこんでいますから (汗)

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2 のコメント

  1. キヨ、コメントありがとう。

    三無のはなしはね、、、わたしもまったくですね、できません。
    ただ、個人的には「無駄」というのはキライでもなく、どちらかというと好きな言葉だったりします。

    「無駄」をいっぱいしいろいろと理解するのがいいかな、われわれ駄馬はね、、どう、キヨ?

    まぁ、最近は年取ってきて「無駄」する時間も、勇気もないのが残念ですがね。
    また、よろしくです。

  2. 無理、無駄、無法…まるで自分のことで始めから耳の痛いお話でした。
    しかし防具も一朝一夕で今の形や伝統がつくられてきたのではないことを感じました。試行錯誤でこの形が作られ、職人さんの丁寧な仕事が機能的で美しい防具を作り上げて行くのですね。
    飾り一つ一つの意味も考えながら防具をみていこうと思います。ありがとうございます!

    きよ

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