剣道家をめざすセンセのぶろぐ。

「師弟同行」教うるは学ぶの半ばなり、、、どちらもまだまだです。

2012年 修行指導 剣道論

「歩く」から「剣道」を考えてみる

『腰と丹田で行う剣道』(森田文十郎著)より
『腰と丹田で行う剣道』(森田文十郎著)より

仕事の仲間が以下のような指導映像を作り、最近公開されました。
「剣道」ではありません、「競歩」です。

> サイエンスチャンネル:アスリート解体新書(38)競歩 〜驚異の歩行技術〜

いま、とっても気になっているんです。

まず、「走る」と「歩く」の違いは、「左右いずれかの足が常に地面に着いている」のが歩きであり、「両足とも地面から離れる局面がある」のが走りとしています。

また、ルールとしては大きく2つの禁止事項があります。
両足が地面から離れてしまうという「ロス・オブ・コンタクト」と地面に着いてからカラダの真下に足がくるまで膝を曲げてはいけないという「ベント・ニー」です。
後者は膝や足首をバネのように使って蹴り出してはいけないというのですが、今ひとつピンと来ません。
必ず片足が地面についていればいいでしょと思ってしまいますし、歩き方をここまで規定していくと身体的特性(足が長いなど)とかが競技力になっちゃうんじゃないかと思いますが、、、なんらかの経緯や理由のあってのことでしょう。

ただ、この歩き方についてからの視点は、剣道の動作にいろんなヒントがある!!!と思っています。
大昔に普段の歩き方とか気を使ったこともありますが、最近はいい加減になっていたりしますので、非常にいいきっかけになったかもしれません。
もっといろいろな資料をあたるべきなんでしょうが、今回は映像から受けた刺激から考えてみます。


だいたい、へそ曲がりのわたりには剣道で剣道の動きを聞いたりすると、我というか、自分の解釈が邪魔して聞き入れられないんです(物事すべてこんな感じです、、、はい、反省してます)。
しかしながら、こういうのは妙に興味を刺激され、「剣道では」なんて、、、もっと素直じゃないといけませんね(汗)。
ただ、こういう他の競技からの刺激をもらえる場にいるってことはホント感謝です、遠回りでもいろいろと見直せますからね。

さて、剣道で「歩行」というと『腰と丹田で行う剣道』(森田文十郎著)という名著があります。
これは、非常に興味深いのですが、現代の一般的な指導書と違い、かなり森田先生独自の理論が展開されているとも言われています。
でもですね、「歩く」ことの映像を見つつ、まっさきに「剣道」との関わりということでこの本を思い出したんです。

この本には、歩行の原則を「対角線活動の法則」と称し、以下のように書いています。
歩行時は自然にできるのに、剣道は両手で竹刀を握ることにより、剣道の動作の難しさが生じているということが書かれています。

a 左腕が前方に出る時は、右脚も前方に出る。
b 右腕が前方に出る時は、左脚も前方に出る。

そして、このためには腰の回転と丹田の力が必要であると、、、要約しすぎです、詳細については原本を読んでください。
私自身もまだまだ浅学非才のため、理解できていませんから。

また、剣道の打突動作を整理すると、以下の手順でしょうか。

攻め(崩し) 〜 打突 〜 残心

そのなかで、竹刀を介して打突する、上半身の活動が中心ともいえる「打突の動作」、ステップともいえる踏み切り、踏み込みなどをおこなう、下半身の活動が中心ともいえる「移動の動作」に分類できるかもしれません。

書物によっては、剣道は「打突運動」と「並進運動」の組合せだと書かれているものもあります。

さらには、、、それぞれの「竹刀の振り上げ〜振り下ろし〜打突」、「右足の振り上げ〜左足の踏み切り〜右足の踏み込み〜左足の引きつけ(右足で踏み込む場合)」というような運動の過程をどうやって組み合わせていくかというのが、合理性・経済性といった技術の追究になるでしょうし、個性にもなっていくでしょう。

さらには、移動動作の関連のことでいうと「ナンバ」、「なみあし」といわれていることがありますね。
これについても、もっと勉強したいと思います、、、またあらためて。

とにかく、剣道人としても、歩行の方法を見つめ直すというのは、曖昧なんですが、剣道にとって役に立つんじゃないかなと思っているのです。

38競歩

> サイエンスチャンネル
アスリート解体新書(38)競歩 〜驚異の歩行技術〜

さて、この「競歩」の指導映像をみて、でてきたキーワードをいくつか、列記すると、、、(抜粋、わざと書かなかったのもありますョ)

骨盤の上昇を抑える
エネルギーロスを減らす
膝の使い方での直線的な移動
骨盤の回転
腕の振り方と肩甲骨の使い方
接地の技術

などなど、、、

対人的な話として起こりを捉えられないように上下動を見せないとか、直線的に最短距離に踏み出す方法とか、さらにはヒザを曲げてはいけないというルールと剣道の指導で言われている「膕(ひかがみ)」の使い方とか、、、いろいろと剣道するわれわれにサジェッションしてそうなカオリがプンプンと。
まぁ、剣道的にはそぐわない点もあるかもしれませんが、感じる点が多いのです。

さらにいえば、合理性・経済性を追究していくということは、老化をしつつも進化していくことができるという剣道の特性にとって、何らかのヒントがあるに間違いないと思っています。
なんたって、ながく付き合う基本的な運動でもあるんですから、、、

この長い距離を合理的に経済的に歩くための一歩一歩を研究している彼らのアプローチは、とても興味深く見ることが出来ました。
とくに、相手がいない中で、選手がもつであろう、自分へ向けられる感覚は、どういうものか聞いてみたいと思っています、、、教えてくれるかな?!

剣道人のわれわれは、相手がいたり、打突することがメインになったりするのが良くないのかもしれませんね、、、まずは自己の安定した移動が安定した打突する技術につながるでしょうから。
そして、生涯スポーツとしての剣道を考えた場合、移動の動作についてもっと研ぎ済まないといけないなぁと思っています。

まぁ、剣道にどうという結論は毎度のことですが、全くありませんけどね。

歩きのプロの合理性・経済性のための感覚、、、少しでも共感できたらウレシイなと、今度指導してもらおうと心に決めている次第です。

こうやって移動の動作に関して考えたりすると、不勉強だから当然なのですが、さらにもっともっと剣道について勉強しないといけないことがあることがわかります。

はぁ、いっぱいいっぱいあるなぁ、、、(汗)

ということで、今回は仕事仲間の仕事の宣伝こみで、映像紹介をして、考えてみるというポストでした。

兎にも角にも、もっといろいろと考えてみないとダメだってことがわかりました!
そして、わかったとしてももネタにはしないと思います(笑)、、、自得していくのがこの世界、ナ・イ・ショです、あしからず。

 

 

<追記 2012.2.21>
ちなみにサイエンスチャンネルのこのシリーズ剣道版は以下です。

>サイエンスチャンネル アスリート解体新書(18)剣道 ~その動きと技を探る~

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