今回の主役は右の写真の真ん中の小さな革、、、竹刀を組み上げていくときに「もどし」や「返し」などといわれる弦を折り返す革です。
とっても仔細なパーツですね。
まぁ、ヲタクということで、あはは(笑)
とあるところから得た情報なのですが、西日本の中国地区の高等学校の大会では以下のように竹刀の規定がされるようです。
平成24年度からの竹刀の規定について
竹刀の弦の色は白色または黄色とし、弦には付属品をつけてはならない。
この文章では、柄革も中結も先革もつけてはいけないような文章にもとらえられますが、本意はそれ以外の付属品ということらしいです。
つまり、竹刀を作る時の写真の弦を折り返す革がいけないということらしいのです。
全国では統一されていないし、わたしははじめてききました。
聞いた噂ではその理由は以下と聞き及んでいます。
試合進行の妨げとなるため。
試合審判規則にはない暗黙の了解のなかで使用可とされている「白・黄色・紫」の弦の色が2色に減ったことにも疑問はありますが、今回はこの部品について考えます、、、今回の結論は「竹刀の手入れはしっかりやりましょう、その教育もしっかりやりましょう」となりますね。
さて、規定の理由である、進行の妨げというのは、折り返しの革が竹刀にはさまるということらしいのです。
まず、この折り返す革の効用としては、、、
・弦がいたまない。
・折り返しの位置が決まりやすい
・結び直して使える
など。
では、弦を結んで折り返して作る方法で問題となるのは、、、
・結びのかけ方を間違えると、締まらないので、引っ張っても、折り返しの位置がズルズルとずれてしまらない。
・今の弦はナイロン製なので、結ぶとことでの凹んだり、スレることの耐性が、昔の琴糸とは違って弱い。
・前項に挙げたとおり、結んだところは切れやすくなっているので、結び直し、使い直しはあまりきかないし、切れやすくなる。
などなど。
つまり、折り返す革がない方が、竹の間に挟まった場合は引っかかことは少ないかもしれないですが、竹刀を仕組んだりする過程や使用する過程での危険性をうむ可能性が高いであろうと言えます。
では、なぜ竹刀の胴の部分に、その革のパーツが挟まるのかを考えてみましょう。
弦の張り方が弱いというのがまずもって第一の問題だと思います。
さらに、柄革がきっちりとキマり、中結がシメてあれば、挟まらないでしょう。
(どういう竹刀の組立がいいか、最後の部分にある拙ぶろぐのポストを参照してください。仕組みの参考になるかもしれません。)
地方によっては、竹刀検量のときに、弦の張り具合を竹刀の幅よりおおきく外れるとやり直し、あるいは不合格とするところもあるように貼り具合は重要です。
緩すぎれば、先革などは抜けたり、竹刀のピース(竹)がたわむ可能性も高まるからです。
大昔は、稽古を終えるたびに、弦をゆるめて、ささくれのチェックや油をくれるなどの手入れは当たり前でしたし、竹刀の胴の部分がひろがらないように竹刀そのものをつねに紐で結んでいたものです。
そして、使うときには、弦をしめなおして使うというのが常識だったと聞いています。
、、、と書いている、わたしはいま毎回はこのような手入れをしていないので反省するばかりですが。
つぎに、構造上の問題。
タメのしっかりした簡単に曲がらないような、胴の部分が開かないような竹刀。
昔の竹刀職人さんは、タバコの煙を先から吹きかけると、柄までもれずに抜けたとか、水もこぼれないなどというようなものをつくられたという話もききますし、いつまでも胴の張りの部分が膨らんだり歪んだりしなかったともきいています。
近年の機械でのタメは非常にあまく、よく曲がると聞いてもいます。
この件については、竹刀製造のほうでの検討をしてもらいたいですね。
さらには、そして、キチッと組み上げた竹刀の販売ということになりましょうかね。
最近のおおくは卸しの業者から組みあがった竹刀、作りおきの竹刀を販売している形態が多くなっているようです。
革製の柄革やナイロン製の弦はそれぞれ時間経過とともに、伸びるわけです。
したがって、弦の張りはゆるくなりますし、今回のようなことが起きうるわけです。
道具を販売する方々が、しっかりしめなおして出しているかが、このような規定を作られると心配になってきます。
以上の構造上の問題については、剣道具業界(製造も販売も)でしっかりと対応してもらいたいと思います。
一言付記しておきます、、、業者さんも大変です。
これが浸透しても、折り返す革は中結の切れ端の再利用ですからまだいいものの、紫の弦の在庫の問題が起きるでしょう。
こういう、トップダウン的なことで業者さんも被害を被っているという事実もあることをこの世界は知るべきで、うまくタイアップしていかないといけないのではないでしょうかね。
そして、もっとも重要となるのは、使い手と指導者の問題だと思っています。
使い手としては、前述のようにしっかりと手入れをしているかということです。
相手を竹刀を介して打突するという現代ではあまりいいと言い難いことで剣道は成り立っているわけですから、その道具は相手のことを考えて、危害を与えないように手入れするべきでしょう。
つまり、弦の張り具合によっては危険性もはらみます。
ゆるければ、当然、今回の問題となる、竹刀ににもどしの革が挟まるなどということがおきうるんですね。
そして、自然界のものの恩恵を受けた道具を使っているわけですから、使い捨てではなく、手入れや調整をして、大切に、ながく使ってもらいたいというのも、教育的なことかなと思っています。
そうです、指導者の問題が実は最も重要なのかもしれません。
とくに今回のことは高校生が対象となるようですから、それこそ、剣道界の教育が機能しているかという問題になるのではないのでしょうか。
この革が竹刀の胴の部分に挟まることで、運営に問題があるというのであれば、挟まらないようにしっかりと弦を張るという教育をすべきです。
どうしても広がるようなものは、柄をつけたままで、一枚一枚の竹をすこしずつ外側にタメる、曲げてあげれば広がりをなおすこともできるのですから、こういう指導もしてあげないといけません。
※使用が多いものは、傷つきやすくなっているものもありますので要注意です。
正直言って、こんな竹刀を使っているヒトが多いというのが、ビックリしますし、将来はどうなるんだろうと思ってしまうわけです。
これは道具を大切にすること、相手を思いやるということになりますし、この革があるほうが安全性なども担保できるようになるわけです。
このこと自体は、剣道が教育であるといっている部分につながることとなっていると思うんですよね。
さて、、、このように見てくると、試合運営の時間の効率化と安全性やものを大切にするという教育とを天秤にかけるようなのはどうかなということです。
そもそも、試合の進行の妨げとその小さな部品ひとつが直接関係しているように論を飛躍してはいけないということで、少々時間をかけてもしっかりと教育とか、啓蒙活動をして、安全性を担保するべきではないでしょうかね?
道具の不備ということで反則くらい与えていけば、道具の手入れや安全への意識をたかめることの啓蒙になるのではないかなともおもっています。
今回のこの規定自体もやや気になりますが、根本には剣道界の問題があるような気がしています。
少年剣道の指導者もいっぱい知っていますし、夏の全国大会などもお手伝いさせていただくと、良くなったこともたくさんあるんです。
> 拙ぶろぐ:2010全日本剣道少年剣道錬成大会 裏方手記:剣道指導者素晴らしい!!!
時間をかけても、いろいろと教育できる力があるのですから、こんな規定ではなく、何が重要なのか、教育していただきたいなと思っています。
おまけです、、、以下までこだわらなくてもいいですが、参考までに過去の竹刀に関するポストをあげておきます。
手入れには役に立つかもしれません、一読いただければとおもいます。
> 拙ぶろぐ:柄革をキメる!:ヲタクっぷり[7]
> 拙ぶろぐ:中結をシメる!:ヲタクっぷり[9]
> 拙ぶろぐ:竹刀をえらぶ基礎知識:ヲタクっぷり[13]
<そして、、、>
わたしは、この革があまり好きではなく、つけていません、、、今回の推奨のスタイルというか???
鍔競り合いとかで目障りと思ってしまいますし、この位置が竹刀ごとにやや違ってくるのが感覚的に好きではないのです、、、はい、ヲタクです。
このつくりは、『剣道用具の保守・管理』(全日本武道具連合会制作)に書かれた、昔ながらの方法です(写真)。
ただし、現在のナイロン製の弦だとよく切れてしまいますので、弦を一回り太く、強い、特別なものを使っています。
ココを書くと、あまり説得力のない話になってしまいますね、、、スミマセン。