床のことを「序・破・Q」とやろうと思ったのですが、3回くらいではおさまりそうもないので(3)ということにします(笑)
弊社の剣道場、、、ヒノキの集成材、無塗装です。
そして、、、
近年、どこの集成材、塗装なしの剣道場がもつ、冬場、乾燥する時期に「すべる」などの諸問題が発生して来ました。
まぁ、木のもつ潤いもなんとなくなくなり、、、、そこで、メンテナンスをしようと。
しかも!!! ここは、業者まかせではなく、自分たちの使うものは自分たちで。
母校の後輩先生の教育への羨望からのマネかもしれません、、、だって、教育的観点からステキなんですから。
競技力もマネしたいものです。
そして、その原因とか、メンテナンスにいろいろとお知恵をいただいたのが、前回の竹刀ネタに続いて、敬愛してやまない床ヲタクさん、、、いつも本当にありがとうございます。
> 拙ぶろぐ:竹刀の「乾燥」工程について考えた:ヲタクっぷり[32]
本ポストでは、今回の床のメンテナンスの記録と、床のすべりについてなどを書き連ねて行きたいと思います。
剣道やっているヒトがしらないことがたくさんありますね(反省)
さて、この冬時期、乾燥する時期、「すべり」に関しては、最近の白木の剣道場でよく話題になりますね。
まぁ、冬場だけでないということも聞きますが、、、
これについて、いろいろと原因があっての問題解決であり、メンテする意味などを理解するために、今回も前回の竹刀の乾燥工程ネタにつづいて、床ヲタクさんを質問攻めにしました、、、ありがとうございました。
とっても、勉強になりました。
まず、弊社の剣道場、この集成材に床をかえてからは、11年くらいたちました。
ただ、剣道専門でもないため、靴を履いたりする他の競技にも対応できるよう多目的なフロアとして、当初から数年前までは表面にはウレタン塗装(武道用とはいえ、普通の体育館仕様です)をしてました。
でも、、、剣道部の競技力向上とともに、けが人が続出したのです。
そのときのポストが以下です。
> 拙ぶろぐ:剣道恋愛論
そんなこんなで、表面の塗装を剥がしてもらったのです。
で、、、私自身、剣道場の床の研究にちょっとしているのもあり、いろいろと調べると、弊社の道場、、、ちょっと稀な状態でした。
つまり、最初にしてしまったウレタン塗装が床の木材の目に入り込んでほぼ起伏やズレのない状態となってます、、、結果オーライの産物、スグレものなんです。
あ、自慢話はおいておいて、、、
はい、塗装をはがしてまだまだ新しい感はあるものの、2年も経つとやはりいろいろと傷んできますし、冬時期のすべりもかなりのものに。
さて、、、なぜかというと。
剣道場という範疇で、塗装をしていない床を考えると、いま使われているものは、針葉樹(松・杉・檜など)の「無垢材」と「集成材」、合板で表面にこれらの材木を張り合わせたもの、普通の体育館に使う木材(カバなど)の表面に塗装をかけないものがあると思います。
また、無垢材では割れや隙間ができますし、集成材の場合はそれが少ないという利点もあったり、それぞれの特性もあります。
近年では、集成材、合板、体育館など塗装しない場合、かならずのようにオイルフィニッシュがされるのが定番になりつつありますね、、、以下のものが多く使われているようです。
そして、床における「すべる」ということ、、、
この原因を聞くといろいろとオモシロイです、、、床ヲタクさん、さすが。
まず、木材にとって、重要なのは含水率です。
※水というより、「エキス(extract)」なのですが(前出の竹刀の乾燥工程のぶろぐ参照)。
冬時期にすべるという床でも、夏や梅雨時にすべるという話はあまりききません。
ここですべるヒトは、あきらかにカラダの使い方がわるいのです。
そもそも集成材は、それ自体を集成するときにくるいがでないように乾燥させすぎることがあるようです。
寄せ集めの木々ということもありますので、バサバサ感は当然あるともいえましょう。
また、これは私の推測なのですが、冬は寒く、汗をかけないという人間側にも、すべる一因があるかと思います。
つまり、床と足裏の間に水分があるときにはすべりにくい、汗がかけないからすべるということです。
濡れた雑巾に足を何度もつける行為をしたことがあるでしょうから、これは間違いないですよね。
(どんな床でもすべらない人間もいます、、、技術、体質、いろんなことがあるのかな)
つぎに、床の表面の仕上げの問題。
現在の無塗装(オイルフィニッシュ等は含む)の床には、大きく2つの仕上げがあるそうです。
・カンナ仕上げ→表面はツルツル
・サンダーでの仕上げ→表面はザラザラ(元来、塗装の食いつきをよくするための前段階、仕上げではない)
カンナでの仕上げの場合、表面は比較的ツルツルなのだそうです。
ツルツルなほうが、実は足裏とのあいだに空気が入らず、すべりがおこらないということが、最近では報告がされているようです。
一見、ざらざらのほうがすべらない、摩擦もあるんじゃないのということなのですが、人間のカラダとの相性はおもしろいものですね、、、水分があるとすべらないというのも同様かも。
ウレタン塗装が凸凹はなく最もすべらない、サンダー仕上げのざらざらはすべる、、、その中庸がカンナ仕上げでこれが塩梅がいいということになるのかな。
ただ、ウレタン塗装をしない場合は、季節や天候に左右されるということかな。
サンダー研磨は本来、その後におこなわれる塗装の食いつきをよくするための過程だとか。
つまり、表面はきれいなようで、ザラザラであり、それで塗装が食いつくと。
こういうことから、前述の含水率のこともふくめて、サンダー仕上げをした場合は、表面(だけでなく、木材全体)にうるおいを与える、表面に皮膜をはるなどの処理をする、、、「オイルフィニッシュ」をするということになっているようですね。
また、床の表面を削ることについては、サンダー研磨のほうが、1枚1枚板を外してカンナをかけていく工法の、10分の1くらいの費用で済むようですね。
さらに、板1枚毎の糸面の処理をできないため、ソゲやささくれが起きやすいし、いままで見えなかった割れもでてきやすいらしいです。
これは、集成材でなくても、無垢材でサンダーで仕上げても同様なようですね、、、大阪の剣道の拠点ともいわれている道場の床が、サンダーで床を削ったあと、きわめてすべるようになったようですから。
以上のことから、現状でまわっている多くの床の建築がいいのかは、、、すこし疑問が残ります。
ただ、利用者、修行者が、常に床材をいい状態に保とうという使う側の気づかい、メンテナンスにつねに気を払っていくことが重要なことかもしれませんね。
使いこめば、表面のオイルの皮膜もとれ、床自体も乾燥する時期には水分もなくなるので、定期的な手入れがどうしても必要であるという解釈をしていいんでしょうね。
安価に仕上げると、その後、手間がかかる、かけないといけない、、、ということでしょうかね。
しかしながら、ウレタン塗装した体育館で剣道を行うなんてことは、無塗装の床でやってしまうとそれはムリだと思います、カラダへの負担がかなり違いますから。
ということで、、、今回、手入れをするなら、業者とかの他人任せではなく、冒頭の後輩のステキな教育を思い出し、自分たちの修行の場は自分たちでとおもったのです
大切に使うことや、床もふくめて、、、たくさんに気をまわせるデシたちが育つといいなぁと思ってますよ、期待してます。
教育的効果ってやつかな、、、あるといいなぁ。
あ、あと競技成績もね!!!
で、ようやくですが、床のメンテナンスのご報告、初めての試みだったので2日にわたっての実施を試みました。
手順は以下を参考にしました。
<1日目>
母校ほど汚れていなかったので、スチーム掃除機ではなく、デッキブラシでキレイにしました。
剣道特有のテーピングテープの使い方により、床は写真にあるようなテープの糊のあとがたくさんあります。
このような床の表面の汚れをしっかりととっておかないとオイルも染み込みませんからね。
本来、、、スポーツテーピングの目的は、怪我の予防と再発防止ですが、以下の効果があります。
あとは、圧迫なども効果かな。
1.可動範囲が制限できる
2.傷害を受けて弱くなった部位を補強できる
3.ケガへの恐怖感を軽減できる
しかし、剣道で使う「焼きテ」といった、割れた部分などにエラスチコンテープを、ライターで糊の部分を焼いて粘着力を高めて使う、、、
ホワイトテープも、割れた足裏をグルグルとまいて使う、、、
つまりは、「肌のかわり」という剣道の使い方は特有で、スポーツテーピングとしては「ない」んですよ、、、でも、ユニークというか素晴らしい使い方です(笑)
とはいえ、この汚れつけたのはあきらかに剣道ですからね、、、自分たちでキレイにしました。
つづいて、大型扇風機を寒い中、フル回転。
順次乾燥させて、オイルを塗布。
油まみれ・・・(結構心配でしたが放置します 笑)
<2日目>
1日経つと、オイルはすっかり染み込んだ感じです。
ただ、オイルで浮いた汚れが多々あったのと、その後またオイルをかけるために、まずは床磨きをします。
2回目の塗布は薄めにして、15分後、拭きあげて乾燥。
さらに40分後、、、本来は1時間と取説にはありましたが、3度目の塗布。
みんなで染み込ますようにならしながら、仕上げました。
オイルの量は、たっぷり塗ったつもりでも一斗缶の半分くらい、この道場の広さに対して、結局メーカー指定の量くらいでしたね。
<そして、後日>
その2日後の床がこれ!!!
床もずいぶんウェットな感じで、表に皮膜もできていて、、、まだ少々ベトベト感が。
まぁ、本当にオイルがおちつくまではもうすこし時間がかかるとのことなので仕方ないかな。
また、すこし足さばきの稽古をしてみました、、、寒さでかじかんでからはちょうどいいというか、それでも、ちょっとすべらなすぎって感じ。
人間の要求ってわがままですね(笑)
でも、大成功です( ー`дー´)キリッ
非常に簡単ですし、会社や学校の管理するセクションが許してくれて、やれるなら、やるべきでしょうね。
毎年すれば、大がかりなことでなくすみますしね。
なによりも、自分を向上させる場への感謝、道場への愛着も上げられ、教育的な効果もあると思います。
以上、剣道場のメンテナンスのご報告でした。
これはムズカシイことはひとつもありません。
家の清掃の延長みたいなものですね、、、(家の掃除はしたことありませんけど スミマセン)
この試み、、、ありです!!!
さてさて、、、
スゴいステキなサイトがあります!
以下です。
剣道場に興味があるなら、見てくださいね!!!
<2013/02/18追記>
いろいろと質問をうけ、こういうことをしようとする方々が増えてるようです。
教育的にも、施設、、、道場の管理としては、とてもすばらしいことで、このポストをしてよかったなと思っています。
ただ、これは、すべり防止がメインではないですよ!!
「すべらない」のはダメだと無塗装にしてるのに、「すべる」のはダメだというようにおかしなことを言っていることになってしまいますから。
まずは、塗装をしていない場合、乾燥した状態で使い続ければ劣化がはやくなってしまうのは当然なので、そこで、潤いを与えてあげるわけです。
その結果、床を長持ちさせるだけでなく、乾燥期の「すべりすぎ」の防止になり、技術の稽古にも効果が上がるという床にもヒトにもいいということになるのです。
「すべりすぎ」は転倒など危険性もありますからね、、、すべらないと駄目だし、すべりすぎるのもダメということをふくめて、床を長く大切につかうことだと説明しないと、それなら塗装しろと言われかねないですからね。
この点、しっかりとご理解くださいね、、、ね、U木センセ!
<2013/06/13追記>
昨今、このような集成材のすべりすぎということと、使用者の修行の場として手入れするというところが増えてきたようです。
> 無垢フローリング:学生が剣道場床の桧集成材にオイルを塗布しました。
非常に好ましいのとおもう反面、集成材のありかたについては考えるところです。
まぁ、集成材のいいところもたくさんあります、、、安価だし、タテ・ヨコの方向関係なく稽古できるのはとてもいいとおもいます、、、方向や方角あっての「道場」だという反論も聞こえそうですけど。
さて、ここでつかわれているオイルは、本ポストにあげられているものとはちがうようですね。
この床ヲタさんのところで使用しているのはオリジナルのオイルですね、、、さすが専門店の矜持とでもいいましょうか。
とにもかくにも、このポスト以降、床ヲタさんへの問い合わせが増えているみたいです。
拙ポストでメーカー名をだしたのも少々浅はかだったかもしれませんが、専門家には専門家のやり方がありますし、それ相応のノウハウもあります、、、相談するなら、しっかりと専門家の意見をききましょうね。
とくに、オイル選定も重要でしょうが、床の状況をみてどうするかということが目的のはずですからね。
Very nice article. I absolutely love this website. Stick with it!
ブログまるまるお引越しされたんですね。
これってエクスポートっていう手法なんでしょうか?
実は私もお引越ししたいのです。。。今度、教えてください。
さて、剣道部員さんたちで力を合わせて剣道場のメンテナンスされたんですね!
素晴らしいです!!防具もお相手も道場もないと剣道はできませんので自分達で精魂込めて磨き上げることは学生達にとってもこれから道場に対する思いやりの心も育んでいくんでしょうね。オイル塗装でのメンテナンスはそれほど難しい作業ではございません。烈しく傷む前にまめに手を掛けてあげれば多大な費用を業者さんに支払うことも少なくなります。
ぜひ、この風潮が広がればいいなと思います。
また、テキストリンクもありがとうございます。
少しでも剣道場に興味をお持ちの方に見ていただければ幸いです。
これからもブログを楽しみにしております。