決して、剣道具コレクターではないんです、、、と先に言っておきます。
今回は胴に関するポストです。
先月はぶろぐ引越しでバタバタしたので、新しいところでの本格的な初ポストです。
胴はおおまかに、胴胸と胴台のふたつのパーツからできているといってもいいでしょう。
すでに、道具に関しても、胴に関してもいくつかのポストはあるのですけど。
> 拙ぶろぐ:「型〜平面展開図〜」から:ヲタクっぷり[26]
> 拙ぶろぐ:剣道具の「おされ」:ヲタクっぷり[3]
わたしのお気に入りのいくつかの胴、、、これは胴台でいうと50年以上前とかもっともっと古いものなどを、縁あって使ってます(自分より先輩ばかり)。
そして、先般、ふとしたことから、そのお気に入りの50年前の胴台とまったく同じ形であるものに出会ったのです、、、もうはなしません(笑)
ところで、あたくし、この界だと、まだまだ青二才あつかいですけど、世間的には十分おじさんです。
ですから、胴に関しては、もうそんなに使い切れない、そろそろ使う道具も打ち止めだろうと。
※胴限定の話です、面小手はまだまだ消耗しますよ、稽古しますから。
※この点から、道具は使うものとしていているわたしは、やはりコレクターではないといいはりたいんです(笑)
そこで、考えてみたんです、残りの剣道ライフの一端の道具を自分オリジナルで、、、
そう、ヲタクの真骨頂、自分でデザインしてみたいと、、、胴のウンチクをふくめて展開していきます。
ちなみに、以下ポストも読んでおいてくださいね。
剣道具の材料のこと、竹の今昔のちがいもかいてます。
ここの最後にでてくるのが、いま愛用の50年ものの胴です。
> 拙ぶろぐ:古人の知恵「剣道具材料編」:ヲタクっぷり[2]
では、まず、胴台です、、、
現在、昔ながらの竹を編んで、生革をはって、漆を塗るような胴台屋さんも驚くぐらい減っているようです。
もしかしたら、近い将来、竹胴自体、出てこなくなるかもしれません。
※以下ポストから、伝統的な剣道具製作工程、胴台のできるまでもみることができます。
ただ、正直言うと近年の竹胴は形状、重さなどちょっと私には向いていないようです。
わたしのもとには史的に価値のあるかもしれない、古い胴台からつくった胴をいくつか使ってるため、こういう感覚になるのかもしれません。
今回、縁あり、めぐりあった前述のスゴい塗りの胴台、、、
これは、以下のポストの最後の写真で使っている胴と、同じ製作所で、形状や竹の厚みなどからたぶん同年代(いまから50年以上むかし)で、まったく同じと推察してます。
塗りもですが、それより形に惚れ込んでしまったのです、、、わかるかな(笑)
胴台はいろいろなカーブがあります、、、そう、いろいろな「R」があるんです。
上辺・底辺のカーブ、おなかに当たる部分のカーブ、脇の部分のカーブなどなど。
相撲でいうところの、あんこ型の方にはいろいろと丸みがある方がいいでしょうし、ソップ型の方には底辺のカーブはコの字みたいで、あまりおなかの部分も丸くないほうがいいでしょうかね。
前述の「剣道具ができるまで」のポストにみられる工程から、この形状のデザインを云々ということは、素人のわたしにはどうすることもできそうもないです。
ちなみに、わたしは新しもの好きなので、、、個人的には、胴こそ技術革新、工業製品として、個々の体形にあった、より軽くて安全、衝撃緩衝のあるものが「ポンっ!」とできないかなと思っているのも事実です。
今現在、あるものにカラダを合わせてる感じもどうかなと思っているのです。
まぁ、職人さんの手で伝統的に作られた、竹胴が衝撃緩衝能力にしても、伝統工芸としても、いろいろな意味で、新たな技術でつくられた胴台を凌駕しているという事実でもあるんでしょうけどね。
ということで、胴胸を考えようと。
最初に足の部分について、、、とくにこの足の部分が胴台と相まってこの道具の多くカーブをつくりだすので、ここはこの道具の生命線です。
胴台のカーブに沿わないものなどは、カラダにも沿わないですからね。
ここにも、「R」が重要という話があるんです。
そして、サイズ、、、これも道具としての安全性と使いやすさといった機能性を出すのには必要不可欠なところです。
小さいとプロテクターにはなりませんし、大きいと運動動作のジャマになります。
これらの点については、これは専門家の知恵と経験にゆずるしかありません。
ゆずるというより、お願いするしかないのです。
素人のわたしのできることは、胸の飾りくらいです、、、しかしながら、見た目からいうと、ここはとても目立つ場所ですね。
少々話は飛びますが、職場の大掃除をするために、剣道雑誌を処分しないといけなくなりました。
ここはコレクターです、みとめます、、、これだけありました。
昔の雑誌の写真や大先生方の懇談、話はお宝ですね、、、でも処分しますよ、わたしなりに。
そして、出てきたんです、、、大昔の胴の写真などが。
で、、、次の写真の黒胴の雲飾りがカッコいいとおもったんです。
これを、今っぽく、真似てみようと(笑)
材料や技術もひっくるめてカッコいいんですけど、まずは見た目をどうするかということです。
以前、以下ポストで、飾りの意義を書いていました。
たぶん、この雑誌の写真のものは戦前だと思うのですけど、前出の写真のように段飾りだけですべり止めのようにしていた胸が多くあったみたいですね。
蜀江も芯材を縫いつける手段ですから、段飾りを入れるのも滑り止め効果からもとても理にかなってたりしますよね。
そこから時代を経て、おしゃれといえる、飾りや蜀江が出てきたのではないかと考えられますね。
※雑誌の表紙の胴は、ヨコの段飾りに上に雲飾りがついてきた歴史的変遷が見えますね。
今回の真似してみようというものは、雲でもないし、松でもないな、、、獅子鼻であることはたしかですけど。
こういう多くのステキな「型」は、職人さんがいなくなるとかなりなくなり、継承されていないこともなります、、、ホントもったいない。
ちょっと余談ですが、以下ポストより、、、
とある国の2012年、、、こういうのは好みではありません。
ヨーロッパのとある国の方のデザインのほうが、意味があってステキですね。
> 拙ぶろぐ:道具の色とそのおもい、世界へ!…:ヲタクっぷり[28]
ということで、このヲタク、わたしは伝統的かつ意義あるものを、デザインしてみようと、、、
で、、、エンピツと消しゴムをもって、数時間、、、
たった、これだけの線引きなんですけどね、数時間も。
正直、胴台と胸、胴の大きなカオとなる部分ですから、妥協できません。
最近ないほど、没頭しました。
たのしかったです。
ポスト冒頭の写真がその過程ですが、完成したのをもって職人さんにもっていって、ご相談、、、仕上げはプロにおねがいすることになりました。
正直なところ、正面からの写真でもないし、穴うちが見ることのできる裏からの写真でもないし、、、
とくに製作過程を知らず、飾りをいれたことがないので、まっすぐに見えるようで微妙やカーブがあること、飾りを綺麗に出すためのきりこみ、、、そう、ここでのデザインとしての「R」の基本もわかってませんからね。
結局、勝手にうかれて、最後は全部丸任せという迷惑なお客さん、デザイナーデビューなんてまったくなしという話です(笑)
でもでも、できるのがとっても楽しみです。
発想はわたし、、、ということだけになりましたけど。
完成しましたら、続編をまたぶろぐにしたいと思います。
さて、そして、、、塗りなどについて。
今回のめぐりあった胴台は、金虫喰いという塗りですが、いまではあまりみることはなくなりましたよね、、、レアで貴重、「R」なものです。
もうひとつ、とても古いであろうというのが、胴台のカーブを比べた写真にでてきてるものです、、、螺鈿細工といえる、青貝塗りというのもレアです。
いま、ここまで細かく蒔ける職人さんもいないとのこと。
虫喰いや青貝だけでなく、梨地、行雲、溜やどなどいろいろなものがありましたね。
なかには、カバ細工や毛のあるものも。
ただ、こういう工芸は器などに塗れば、高価ですけど、胴台は、器よりも膨大な面積でも、高くとれないです。
このような文化の融合がなくなるのは寂しいような気がしてます。
武士が刀の鞘や甲冑に装飾してた伝統工芸の流れでもあると思ってるんですが。
※前述にわたし自身新し物好きとかきました。しかしながら、消えて欲しくないものもあり、このことは自身に整合性がないと重々自覚しております。ただ、できたものができなくなるのは、発展といえないのではないかと自問してる次第で、、、すみません、ここは答えなしです。
こういう胴台を塗る職人さんも少なくなってると聞きますし、剣道具に塗ってくれる方も、そして、ニーズも減っているんでしょうね。
なにより、こういう漆工芸が取り入れられていたということを知っている剣道をするひとがどんどん少なくなっているのも、やや問題あるような気がしています。
まぁ、せっかく塗った漆製品叩いちゃうんだから、塗師さんにもね、、、失礼かな、どうなんだろ???
で、最後にもうひとつ。
実は、虫喰いの塗りに松飾りの胸はのせられないという、トボけた発想もあったんですよね(笑)
松が虫に喰われたら、ダメですよね、、、あながちまちがってはないでかな?!
ということで、続編がある予定です、おわります。
himさま
ほーーーぅと感心しております。
はい、そうなんです、胴台の漆の模様は素晴らしいですよね、今回はここにはふれなかったのですけど、わたしも感動してました。
コメントありがとうございました、これからもよろしくお願いします。
左側の黒胴は、幕末の剣客、松崎浪四郎愛用の胴ではなかったでしょうか。
胴台の真ん中に細く三日月が描かれていて、剣道の胴というよりは甲冑(具足)の趣がありますね。