とある方から、剣道具については続編をはやくと聞き及びましたので第2弾。

ちょっと長いかな?こころして、お読みください!!

そもそも、命のやりとりをやっていたものが武道の発祥で、遊びやゲームから発してきたものではないのです。
大まかには、刀から、刃引きになり、木刀になり、竹刀になっていき、形・組太刀のみの稽古から実践の稽古に変化していった。

安全性ばかりいう、今の時代には今の用具は完全ではないでしょうが、こういう過程を育んできた用具改革がされてるんです。
つまり、もう100年以上は大きな変化はないし、それなりに安全を考えてきたというか、少々危険はつきものというか、これで安全に剣道をできるようにするのが指導・教育ではないかなと、、、

この格好でする剣道は世界では人気なんですよねぇ(拙ぶろぐ:Q8話)!!

RIMG0009

柔道のことは、専門でないので正しいかどうかはわかりませんが、稽古法として、まず「受け身」から入ります。
つまり安全を確保した上で、技の習得をめざしていきます。

剣道もひたすら基礎動作をします。
どれだけの人が、同じ箇所を続けて的確に打突できるのか、、、私もできません、正確に毎回同じところに同じ強度で打突することはできません。

打突させてもらえる条件下(技の稽古)でもダメって、、、、、自分、基本がなっていないんですね(反省)!!!
こういう地道な反復練習をして、安全性を確保してから、地稽古や乱取りがされるのがただしい稽古法だったのでしょう。

まぁ、今回は指導法ではないので、、、
産業技術の発展もあるんですが、それでも淘汰できない剣道具にこめられている古人の知恵、「材料」を中心として紹介していきたいと思います。


剣道具は「繊維製品」、「皮革」、「竹」、「漆」、「金属」、「毛」でほぼできています。

まず、剣道具の命は「布団」だと思います。
これがあって、実際にたたき合う稽古法ができ、現在の剣道につながって来ているのですから。

huton

面、小手、垂、剣道具の布団は、「毛氈(いろいろと効用をいわれますが、織っていない生地=不織布なので伸び縮みせず、芯材となることが一番と考えま す)」、「綿(わた)」、「木綿(コットン)」、そして「糸」で成り立ちます。
衝撃緩衝には、「綿」を使っているのが一番ですね、寝具の布団も打ち直して使い続けられるように、含気性が非常に高く、化学繊維のものより長持ちがします。

洗濯して、空気をいれてやればなおさらです、、、が、洗濯ネタには まだ行きませんョ(笑)

sime-mae

いろいろな化学繊維がいろいろと研究されていますが、「綿」を超えたものはなかなか出てきませんね。

よく刺しが細かいほうがいいと言われますが、職人の仕事として、伝統工芸としてみると、手間がかかるということなんでしょう。

科学的には2.5分の刺しが一番衝撃緩衝が高いという安全面ではすぐれているという研究があります。
また、いろいろな布団の刺し方がありますが、裏に糸が長く出ている刺しで、それを裏からすくって糸締めをしているのがいいのです。
毛氈に綿を重ね合わせたとても分厚いものを締めて(いいものは布団の部分により厚さや芯の入れ方も違います)、薄く仕上げているんです。

itojime

裏の刺し糸が長くても、爪でこすって、糸がザラザラするのは、糸が埋まっていませんので刺し糸も擦れて切れますし、せっかく綿などの衝撃緩衝材がズレたり、よったりしないようにパーティションしても締まっていないので意味がないのです。
それなら、ミシンでも一緒ですね。だから、決してミシン刺しはわるくなく、内容物がイイものであれば、ミシンのほうが機能性(使いやすさ・安全性)があり、安価でいいのかもしれません。

そして、「革」、剣道具には「鹿革」と「牛革」が使われています。
「鹿革」には、実は無数の穴が空いていて、タバコの煙を革の裏から吹きかけると、表に出てきます。

tabacco

つまり、柔軟性も高いというだけでなく、運動用品に適していたものなのです。
これは、甲冑のいろいろなところや弓道の弽などに使われているのも同様なのでしょう。
この性質からか、決してクラリーノなど人工皮革に取って代わられることはないのです。

また、「鞣す」ことと「燻す」こと、これでしなやかさと頑丈さが出ます。
しかしながら、脳しょう水での鞣しがほぼなくなり(手間とニオイの問題といわれていますが)、いまや化学薬品でやるため、剣道具に強いといわれる鞣しはできなくなっているといわれています。
とくに胴胸(裏側)につかわれる鞣し革(牛革)は、昔は汗を吸うと堅くなるという性質を持っていたました。

「竹」は60〜100年に一度、花が咲いて枯れるといわれます。
この枯れた時期が昭和40年代にあったそうです。
それは日本の産業の発展期ともかさなり、竹林のやっかいさとあわせ、竹を使うことが少なくなっていきました。
もう一方で、竹は寒暖の差があり、風雪厳しいところ(京都・佐渡など)に丈夫なものができたといわれます。
これも地球温暖化で厳しい環境がなくなってきています。
これらのことから、いい竹林がなくなりいい竹がなくなる、、、薄くて軽く、強いものがなくなっていきます。
さらに、海外産を使ったりすることで、悪循環。

竹刀も強度を保つためにルール自体も重くなっていくのもこういうこともあると思います。
また胴台も「竹」でできていますが、強度を保つため厚く、重くなっています。
上記の「鞣し」の技術とともに薄く、軽く作れたののが、今は無理なんですね。
(竹刀についてはまた別でネタ起こします)

「漆」、、、英語では「JAPAN」なんですね(なんでかな?)。
粘性が高いので、叩かれても強いのですが、かぶれるとか、湿気がないと乾かないとか不思議な性質をもちます。
胴では、竹の上には直接塗ってもはがれるため、水牛の皮を張り、漆をかけるのですが、、、
今の産業技術でしたらファイバーでもカーボンでも胴台の目的からは軽量かつ頑丈ないいものができると思います。
ただ、、、個々の身体にあうものを受注生産してくれるシステムって考えてないんですね、剣道具の業界さん。
せっかく古人の知恵を超えられることができるのに。

まぁ「金属」、面金については洋銀といわれる「鉄」からいまは「チタン」が主に変わりました。
「ジュラルミン」などはより軽いですが、耐久性、安全性ということでは問題を持ちます。

これと刺し糸はテトロン糸がおおくなり新しいテクノロジーが取って代わった少ないところですね。
切れにくいという効用はありますが、スベって刺しがやや締まらないということもあります。。。

上記の刺し糸ではテトロンが、といいましたが繊維製品は結局「木綿(コットン)」を超えません。
これは剣道着・袴もしかり、吸湿性、乾燥性、打突や擦れへの耐久性など総合的に見て他のものに変わることはできないんでしょうね。

英国のロイヤルファミリーでは、シルクよりランクが上にされるコットンがあります。
たぶんこれだとおもいます、、、「海島綿(シーアイランドコットン)
繊維一本一本が普通のコットンより長く、シルクみたいなツヤとさわり心地が凄いんです。

ke

あと使われているのは「鹿毛」です。
これは小手の頭に使われています。
鹿毛は中空、つまりストロー状になっています。
軽さと、程よく切れるために身体や動きになじむということになります。

こうやって材料だけで見てきても、スポーツ用品としても当然かもしれませんが、「使いやすさ」と「安全性」という機能性を、古人たちはこれだけ知恵を振り絞って盛り込んでいます。

「漆製品を叩き、革製品をぬらして使う」

というのはあり得ない贅沢になるのでしょうけど、それなりに意味がこめられているんです。
構造や機能については、これもまた別ネタに書きましょう(笑)・・・洗濯なんてまだまだですよ、あはは。

本来革新的で「新しもの好き」な私は、剣道具の形なんて根本的に考えろって意見をいうだろうと思われていますが、今の剣道が好きなんです。
ということで、今のまんまでやりたいんです。

自然界、動植物からの資源が非常に多く、、、この点からは、今後は非常に心配です。
頑張ってほしいなぁ、剣道具業界さん。
商売も大事だけど、剣道を根幹から支えている「ものつくり」なんだよな!!!

ちょっと余談です、、、色について。

夜明けの様:「黒」から「群青」、そして「茜色」

「剣道具」にはこれらの「色」がすべて盛り込まれているといわれています。

「黒」は迫力があったり、夜襲をかけるためには黒が最適であることなどから、武士の求めた色です。
草木染めでは出ない色ですしね。
「茜色」は、仏閣寺院では魔除けの色として使われています。
日光東照宮しかり、タイなど海外の寺院でもこの色が使われていますよ。
そして「群青=藍色」、「黒」が出ないから藍染めの深い色までいったとも聞いたことがあります。
これぞ、ジャパンブルーでしょね。
※もうひとつ可能性があるとしたら「浅葱(あさぎ)色」、どちらにしてもサッカーの「ジャパンブルー」は中途半端。自国の文化を理解してないものは少し残念。
という見方も剣道具は面白いでしょう。

私の剣道具はホントによくいえばシンプルだな、、、色がない。
いろいろな色を使ったりするのは、剣道具の唯一のお洒落な部分で非常にいいのけど、あまり意味のないものを入れるのはナンセンスだと思っています。(今回は一応結論あり)

 photo7
<2015/12/25追記>
本年、2015年5月に世界剣道選手権大会が日本で行われました。
その大会イベントの中で、日本武道学会剣道専門分科会が「Exploring Japanese Culture through Kendo Equipment」というイベントを行いました。
ここでの、下記映像で職人さんが説明していることが、まさにこのポストの内容ですので掲載をしておきます。
Share Button