でも、木刀は要りません、、、木刀についていうと、このヲタクをうならすものは、今はもうないのかもしれないのです。
約1ヶ月ぶりのヲタクねた、、、まずは、「木刀を選ぶ際の基礎知識」を簡単に。
第一に、木刀はその用途、形状から選ばれているとおもいます。
つまり、日本剣道形に使用するもの、あるいは一刀流とか二天一流など流派の形稽古用、また、素振り用として櫂型のものや重量のおもいものやかるいもの、居合の練習用のものなどもありますね、、、
次に、その材料、、、高価な黒檀、紫檀、そして枇杷やスヌケもあります。しかしながら、やはり樫が一般的でかたさもあるため実用的です。
樫には、赤と白がありますが、白のほうがかたいのかな。
そして、あとは木の目、、、基本的に縦、長さ方向に目が通っている、「柾目」であること(横になるのは「板目」といいます)。
「柾目」でないものは、目の方向に木の強さがあるのですから、折れにくいということになります。
さらにはその目のつまり具合、、、つまっているとかたく、さらにはおもくなりますが、丈夫でキレイです。
ここらへんが木刀を選ぶ基礎的な知識でしょうか。
ちなみに、竹刀に関しては以下です(参考までに現時点でのこのぶろぐのベストヒット)。
> 拙ぶろぐ:竹刀を選ぶ基礎知識:ヲタクっぷり[13]
と、書いてきたものの、私が欲しいという木刀は、ほぼここ十数年みることがなくなりました。
冒頭の写真は、私の渾身のコレクションというか、大切に持っているものです(おかりしているものも、、、?)。
この木刀3本のなにがスゴいかというと、、、
右端のものは、そうとう昔で、昭和の40〜50年代のものではないかと推測しています。
とある大会で敢闘賞として贈られた賞品だとか???
また、左2本も昭和の終わりごろのものです(もとの材料はもっとふるいかもしれません)。
これらの目をみてください、、、(写真では分かりにくいかもしれませんが)
「柾目」で目が詰まっているばかりではなく、刀の湾曲に対して、曲がっている、つまりタメがあるんですね。
柄元から剣先まで木目が湾曲の流れに沿って通っているんですね。
※下の余談その2のところの剣先の写真でも、剣先まで目が刀身に沿って通っていることがわかるかもしれません。
さて、古くには、関東樫といい、埼玉あたりでいい木刀が作られていたようです。
埼玉は、樫の産地でもないんですけどね。
なぜかというと、、、
埼玉には、味噌や醤油をつくる工場が多くあったようです(すみません、確かかどうかわかりません)。
そして、その工程で、錘(おもり)をかけるため棒や絞るための棒がつかわれ、それらに安価でかたい樫の木が使われていたようです。
さらには、行商さんの天秤棒もそうですね。
写真は、錘(おもり)をかけるための工程で使われている道具(このページを参考にしました> http://www.s-shoyu.com/fukuoka/)と東海道五十三次「日本橋」に出てくる行商さんが担いでる天秤棒。
そして、これらの樫が曲がると、使い物にはならなくなります。
しかし、その廃品利用をして、木刀が作られたということらしいんですよ。
そうです、タメが入っていることになりますね、、、
その反りを利用して作成された木刀は、柄から剣先まで目がカーブに沿って「柾目」がとおることになります。
いまの一般的な木刀の工程は、まっすぐの木材から、木材をタメてまげることなく、湾曲した刀の形を削り出していくのです。
つまり、材料自体が、「柾目」にがキレイに通っていても、木自体のタメという湾曲がなければ、木目は刀の湾曲に対して途切れることになります。目は刃の湾曲に対して沿わずにきれることになります。
これにより、使い込むと刃の部分がささくれだったりしてくる木刀もあり、そこから割れたり、折れたりしてくるのです。
上の写真のように、よろしくないものには、「柾目」どころか、「板目」じゃないのってくらい、横に目が走っているところもあります。
※上写真、右は冒頭の木刀の一本。目の通り方と目の詰まり方をくらべてみてください。
こうなれば、折れやすいというのは想像できましょう。
このように、手間がかかるからということもありますが、真の意味を持つ製作過程が変化していき、どんどんと使い捨ての世の中になっていくのも「なんだかなぁ」と考えてしまいす。
ただ、モノが回転してくれないと商売は上がったりですし、剣道が竹刀剣道がメインになったので、木刀を作って商売されているヒトには厳しい状況になってしまうのもわかりますが。
とにかく、まぁ、、、こんなスゴいモノが出回っていた時期については、エラそうに語っていても、実際わたしの剣道人生で語れるような範囲ではないんです。
しかしながら、こんな木刀が目に入ったものなら、、、とても汚い状態でも、もうよだれがたれんばかり、興奮してしまいますね、このヲタク。
今回は、ここにこういう木刀があり、どういう意味があったのか、という歴史についてだけ、記録しておきたいと思います。
廃品利用ばかりだったのか、手をかけて木材そのものにタメをいれたのか、どのようになって、このような手法が消えていったかなどの経緯は全くわかりません、、、スミマセン。
ということで、木刀自体、昔ほどいいものではありません。
竹刀は当然のことながら、木刀も使用される方は、十分手入れというか、お気づかい下さいね。
あとですね、、、たくさん持っていると銃刀法違反となる場合もありますから、あはは。
さて余談です、、、
その後ニュースをちゃんとおっていないので、心配なのですが、、、現在では宮崎県都城市が、日本における木刀制作のおおきな拠点のひとつです(ほぼここで作っているといっても過言ではないらしいです、現状は)。
ただ、霧島、新燃岳の噴火が今年、2011年頭に起こり、その火山灰が木刀を研磨する機材に入り込むため、特に研磨する刃が激しく消耗し、なかなか思うように作れない、武道の必修化にむけての木刀制作に影響が出ているというニュースがでていました。
どうなったでしょうかね、、、
何度かわがぶろぐの中でも、道具のことについて組織的に対応すべきと書いてきています。
どの競技においても、それぞれ商売ではあり、組織が介入することがさほどないようですが、でも伝統文化を守るということであれば、もう少し考えようがあるのかもしれないと考えたりもしています。
すくなくとも、どこかにこのような社会的な剣道情報が発信されたり、プールされているところがあるといいなぁと思っています。
木刀の先端のかたちですが、日本剣道形用にも大きく2種類あります。
剣先の形状です、、、先の尖ったのと、舟形のもの(右写真)。
個人的には舟形のほうが安全性が高いのではないかと好みではあります。
以前、昇段審査なるものを受けに行ったときに、形の審査は木刀は組織が用意してくれていました。
私は一生懸命勉強をして、まず、刀を抜き合わせたときは「横手」をあわる・・・と。
横手とは、先を刀のように尖った仕上げにしてある木刀では、剣先と刃の縦にラインがありますが、そのへんです。
しかし、、、、、連盟が用意していたのは全部舟形の木刀ヾ(・ε・。)ォィォィ
「横手」がありません、、、「ええっ」という焦りが、笑いたくなるやら、緊張もなくなりながらも、、、、、まぁ、なんとか無事終了。
その後、木刀の交差に関しては、抜き合わすと縦になるものが交差するのかどうかといった議論もあり、、、「横手あたり」を合わすように表記もかわったとか???
さらには、連盟が刀の「横手」ということをいうようになってから、舟形の木刀も少なくなったように感じます、これはちょっと残念です。
さてさて、、、とにかく、使い捨てで色々なものが回っていた日本の「もったいない」という感覚が名品を生み出していたということだけ記録して、今回もとりとめのないまま終わります。
<2011/11/4追記>
もう「木刀はいらない」なんて書いたら、以前、床の件でお世話になった kodama さんが、BDプレゼントに木刀を送ってくれました。
桐の木刀、185g、、、これはこれで用途がちがい、軽いものを振るということは非常に自己への気づきを高めてくれる気がします、そのはずです。
うなりました、こういう挑戦は大好きです、ありがとうございました。
これから、もうちょっと、剣道がうまくなると期待します。
コメントありがとうございます。
Twitterでも建築学を先行している方から、木目により強度が違うことは実証されているということを伺いました。
ヲタクねたの科学的援護射撃がありました。
ご報告しておきます。
いつも興味深く拝見させていただいております。
味噌、醤油を造る過程での年月をかけた「矯め」と、木刀や建築資材などそれように短時間で造られた「矯め」も違うんでしょうね~。
ありがとうございました
ハッピーバースデーです(^^)
醤油屋さんや天秤棒全く知りませんでしたf^_^;)
形は同じように見えても作られる過程の違い…。
思い切りくすぐられる内容ありがとうございましたm(_ _)m