日本国内で剣道具すべてを生産している、数少ない大手メーカーのひとつ(唯一ではないはず、、、以下記事)が先月末(2011.8)に「民事再生の申立」をしたということが以下のニュースやその会社のHPに書かれています。

多田産業HPより
多田産業HPより

> 倒産速報:多田産業(以下転載)

〜「八光印」の自社ブランド 剣道防具では国内トップシェア〜
(略) 「八光印」の自社ブランドで展開、日本国内で唯一、剣道防具のすべての部位を自社製造できるメーカーとして国内トップシェアを誇り、昭和61年6 月には宮崎県伝統工芸品「日向剣道防具」の指定を受けるなど製品信用は厚く、ピークとなる平成2年8月期売上高は13億8800万円をあげていた。
しかし、武道人口の減少に加え、安価な海外製品のシェア拡大などもあって平成6年8月期で売上高は10億円を割り込み、平成22年8月期売上高は 4億5000万円にまで落ち込んでいたほか、材料費の高騰、オーダー品の増加に伴う手間増加分を販売価格に転嫁できなかったことで赤字経営が続いていた。 このため、フランスなど海外向け販売を本格化させたほか、平成21年4月から経営コンサルタントの指導のもと経営の建て直しを図り、平成23年1月には防 具に関する特許を取得するなど積極的な経営を続けていたが、財務体質の改善が進まなかったため、法的手続きによる再建を目指すこととなった。

> 多田産業HP

これ自体は剣道界にとって、少々ショッキングなニュースであるとともに、道具&剣道ヲタクとしては、目一杯背伸びをして、すこし検証をしてみたいと思います。

経済の専門でもありませんし、商売人でもありません、、、なので、目一杯背伸びということですね。
これに関する考えは、至らない点、的外れも多々あるかと思いますが、書いておきたいと思います。


以前、以下のようなぶろぐを書いています。

> 拙ぶろぐ:剣道具業界にサンタはいるのか?:ヲタクっぷり[11]

結構、的を射てるような記事ですね、こんな状況から考えると。
生意気にも「道具に関してのいくら儲かったとかいう話ではなく、業界そのものが、剣道具という使う伝統工芸を通して、素晴らしい人間関係をつくりだしていくんだというハラをもつのが原点ではないかと思います。」なんて行がありますね。
そう、剣道具業界は、「剣道の理念=剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である」を実現化していくこと、剣道は剣道具や竹刀がないとできないわけですから、道具業界のすべきことは「剣道」のバックアップ、もしくは引っ張っていくこと、、、生意気ながら申していることは間違いではないかなと。
商売は大切だけど、剣道自体や剣道をする人々の首を締めるような行為、理念に反するような行為はどうか、、、結局は自業自得、自分のクビをしめかねないということです。

まぁ、私自身、このようなことを引き合いにして、文章を書くと反省ばかりになり、キーボード打つ手もとまりそうですが(大汗)

実は、ここ数年、いやもっと長い間、剣道具業界は不景気であると言われ続けてきているのです。。
これは、今の不景気も相まって、より深刻になっており、今回の日本国内で生産している大手メーカーが民事再生をするという事態にまで至ったのものだと思ってです。

今回、思うに上記のようなビジョンをもって対応すればよかったのではないかと、、、コンサルタントとかでなくて、キレるプランナーかなんかを探しだして。
つまり、経営的に相談しても、結論としては人口(買い手)や海外製品のせいとか、材料費とか、手間のせいとかにしかならないだろうし、果ては売り場を増やしに海外進出ということになるだろうなぁ、と。
事を起こすときにはスポーツ界でも「ビジョン・ミッション・バリュー」などと、考えていきますが、今回のニュースからはそれを散見できないということです。

でも、これは業界全体での問題でもあり、一社だけではダメだったのかもしれません。
とにかく、いまは、価格と品質の二極化が激しく、どちらかといえば、品質は蔑ろにされつつある感がありますからね。

さて、剣道具は、以前にも以下の記事などに書いたように命のやりとりを発祥としたものの道具として誕生し、変遷してきているものです。

> 拙ぶろぐ:古人の知恵「剣道具材料編」:ヲタクっぷり[2]
> 拙ぶろぐ:剣道具が出来るまで:ヲタクっぷり[6]

したがって、ある程度、サイズも含めて規格化していくのは合理化のためには必要かもしれませんし、個々人のニーズに応える、応えられる体制にするにも規格化は一理あります、、、ただ、そこからのカスタマイズなどの対応をメーカーが手間だといったたらおかしいと思います。
こういう手間が、海外生産ではなかなかできない部分で、しっかり差別化できるポイントでもあったはずです。

そして、剣道は剣道具・竹刀を介して、自己の技術の表現をし、剣道が成り立っているわけです。
剣道がないと存在し得ない業界ではありますが、剣道を支えているという自負があるべきでしょう。
大昔の職人さんみたいに、しっかりと道具のことの教育するようなこともいいかもしれませんね。

また、そもそも剣道の道具にも日本の伝統工芸的な意味合いが深く盛り込まれており、手間をかけて一針一針表現されているのですから、品質の面こそ担保してもらわないといけないんです。

この剣道具業界の不景気を剣道人口の減少のせいにして、人口を増やせばいいという意見もあります。
ただ、大昔の私も生存していない時の剣道人口から比べれば、少ないとは言えないでしょう。
いわゆるベビーブームによる人口増加や、とある県知事のドラマ、アニメや漫画、しいては女子剣道の導入など、剣道人口増えていた時期もあり、そのピークや、日本の全人口に対しての比率で考えるのは、どうかということですね。

この増加した時期に、、、良いものをつくるための職人さんの育成を怠り、数を作ることに重きを置き、さらには儲けることに走った、、、「ものつくり」より「もの売り」の方向に走ったツケと言えるのかもしれません。
自国の文化を守り、発展させることを選ばなかったんですよね。

こう考えると、原点回帰、もとに戻りつつ、分相応なことを考えるのも重要ではないかということもありますよね。

さらには、粗悪な剣道具、、、これは、つけるだけで違和感があったり、打たれても衝撃緩衝ができないような布団で「痛い」をさらに助長すれば、せっかくの顧客を「剣道離れ」させるばかりです。
これは3Kとかいわれることのかなりを、剣道具そのものが担うこともあることを理解しておかないといけないでしょう。

日本では仲買人が何重にもいるような商売がありますが、島国のもののない中での商売とでもいえるのでしょうか、、、。
それはそれで、信頼を構築・購入すると考えれば、そこそこ良いシステムでもないかと思っているのです。
※この手のことは専門でもないので戯言かもしれません、スミマセン。
すべてを省いて海外とかで、ユーザー(購入者)を知らない手で道具が全て作られていたり、中間でおおくヒトの目を通ってきていないものの、、、メリットとしては安価になることだけで、詳細なニーズ・リクエストへの対応は難しく、どのようにで作られるかもわからないので安定した製品の提供(微妙なカスタマイズとかも含めて)といったチェック機能は働かなくなるでしょう。
また、海外も経済状況の変化で人件費すら変わっていくでしょうから、「ものつくり」が根付くことにならない可能性すらありますしね、、、。
仲買を省いて、安く提供することは企業努力として、素晴らしいのでしょうけどね。

ただ、こうなってくると他の店も値段を下げないといけない、、、こうやって限らた顧客の取り合いをする、、、これがまわりまわって「薄利多売」となっていく、儲けもなくなる。
せっかく独自の物流をしたところも、しわ寄せがくる。
剣道具業界もまさにこのような悪循環になっていると思われます。

この循環は、買い換えが激しい道具とかで、多くの人が必要とすることであれば、耐えられると思いますが、剣道の場合は、どうかな。
単純に、ヒトが一生で使う剣道具の数はいかがなものでしょうか?
そんな多くの数の剣道具は使わないと思います、、、高価なものだし、そんなに壊れるというものでもないですから、、、そもそもがそんなに売れるわけがないんです。

結果、人件費の安い海外での生産、薄利多売の商売をすれば、自業自得で、自分で自分のクビをしめるということになるのでしょうね。
※剣道への入り口という点では、安価で取り組めるというのはひとつの素晴らしさはあるんです、、、この点からはまったくダメな話ではありませんし、検討していかない課題とも言えます。

一方、これは販売のことだけではなく、限りある自然の材料を使用しているのが剣道具であると考えると、使い捨て的な大量生産大量消費ということをしていれば、材料はなくなり価格高騰するなどということがおきるのは当然かと。

この自然界への感謝をわすれていくと、剣道は教育的意義を持つという点からも外れていくことになるのでしょうね。
こういう点まで、啓蒙できる業界であってほしいものですね、、、剣道を支えるという点で。

さらに、もう一点、剣道の特性である生涯続けることの出来る運動文化・スポーツであることを助長する業界のビジョンが重要なのかもしれませんね。
景気とかの波を関係なくしてですね、、、。

さてさて、ついつい、いろいろと吠えてはみたものの、、、こういったビジョンを商売をかかえつつ実現するという命題は、この業界の方々にやっていただくしかないのです。

また、期待するのは使う側の意識とでもいいましょうか、、、価格のこともあるのは、仕方ないんですが。
高いものを買えってもいえないし、、、ムズカシイ問題だよなぁ。

わたし自身は、その道具を使わせてもらって、剣道をひろめたり、たかめたりする役割、、、外野で吠えているだけで、今回のことでは、実際、なんの役にもたたないですね。

兎にも角にもいいものつくって、うまくまわってほしい、、、お願いするばかりなんです。

すみませんね、能書きばかりいって、最後はお手上げのまとめで、、、

前々回の床のネタ同様、競技団体としてとらえて、すすめてもらわないといけない問題なのかもしれません。
剣道具業界のことも、時代の変化に対応する環境づくりの一環として。

ちなみに再生はするんだと思います、、、どういう方向に行くかというのが、剣道界の方向も左右しかねないかもしれないということです。

スポーツの産業論とか経営学とか、すこし勉強したいと思います。
そして、このことの様子もうかがいつづけないといこうと思っています。

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2 のコメント

  1. コメントありがとうございます。いろいろと剣道への思いがひしひし感じられ、わたしのブログに花を添えていただいたようで感謝しております。

    さて、、、失礼承知の上で、あえて忌憚なく書きますね。
    採寸会や見本をというのは、作り手の努力とはおもいません、売り手の努力にあたるのではないでしょうか。
    作り手・使い手の関係だけでない、売り手・買い手の関係も存在しています。
    本来は直接職人さんと話してものを作ってもらう、エンジニアと相談してつくりあげるものと思います(売る買うというのは度外視? 今回のブログでは紹介し忘れましたが、以下参照)。

    剣道具とのつきあい方
    http://kendo610.blogspot.com/2010/06/blog-post_24.html

    しかし、作り手=売り手ではない状況のほうが今は多いかと。
    まぁ、作り手がすべて売り手になると、、、作業も滞るだろうし、、、どうなのかな?
    とにかく、「作り手・使い手、売り手・買い手」の整理が必要なのではないでしょうかね。

    また、いまのスタイルでの剣道の素晴らしさも実感していることはブログを始めて2回目くらいのネタでかきましたが、、、
    それでも、わたしは守るだけでなく、攻めるべきだと思っています。材料や工法の研究はつねにしていくべきと。
    金融などのこともまったく素人過ぎてなんともいえないのですが、、、今回のコメントは、購入方法に関しての守りというより攻めと思います。
    「攻め」とう表現のほうがイイかもしれませんね。
    というのは、剣道のあり方そのものが、道具のあり方とは別では困りますし、リンクすべきと思っているからです。

    また、とりとめのないことをかいていますね、、、すみません。
    これに懲りずに、どんどんご指摘ください、よろしくお願い致します。

  2. 610先生 初めてコメントさせていただきます。肉厚のお話、興味深く拝見させていただきました。経営の専門家ではありませんし、剣道界から20年以上離れておりましたので的外れなことを申し上げますご容赦くださいませ。
     さて、私の剣道具との関わりは高校時代のアルバイトが剣道具店であったこと、そして610先生もご存じだと思いますがある竹刀職人さんからのお話です。バイト先では店長(教士七段)から「殺した革と死んだ革を見分けて見ろ」とか「配達から帰るまでに竹刀20本仕組んで」とかいろいろお世話になりました。竹刀職人さんとは剣道を再開してからのお付き合いです。「ある防具メーカーがベトナムに工場を作った。船便のコンテナ開けたら、手刺し防具が全部カビだらけだったらしいよ」なんて生々しいお話を伺いました。
    さてさて、「原点回帰」のお考えに共感いたします。「消費者感覚」でしかありませんが、「良いものは残る」という単純な方程式をどう展開するかが基本ではないかと考えます。
    最近、長崎県の剣道具屋さん(永武堂さん)が東京で防具の採寸会を行うという話をネット上で見ました。また福岡県の剣道具屋さん(KENPROさん)は手刺し防具の見本を無料で全国発送されていらっしゃいます。これって素晴らしい企業努力「①作り手の努力」の一例だと思うのです。これに対して「体にフィットしたものが欲しい、安全・安心感のある防具が欲しい、そのためなら距離、時間、少々の対価?は厭わない」という剣道家(消費者・生活者)の要求、欲求、意欲、そして満たすための努力「②使い手の努力」がマッチした時に「良いものは残る」一つの例が出来上がると思うのです。また、真面目な剣道具店の企業努力が剣道家にとっての他店との比較・差別化になると思います。「値引き・商品横流し」だけの店とは一線を画したイベントを、しっかり告知してやるのも一つの方法ではないかと思います。
     また、もう一つの面として某法人や武道具組合などが金融機関と連携して低金利の「武道具ローン」仮称なんて作って頂けると、私のような薄給の輩にはありがたいですね。これは財団法人?や公益法人?の規約を超えてしまう(違法性)事かもしれませんが(すみません調べてません)、伝統手工業を守るための育成費用と捉えてもいいのではないかと思います。例えば「職人会所属店、優良店での武道具ローンを利用しての防具購入の際は某法人が金利××%優遇いたします」なんて(笑)住宅ローンみたいですね。一つの例ですけど「③文化の守り手の努力」だと思います。
     纏りなくすみません①作り手②使い手③文化の守り手の三者の努力がマッチした時に「原点回帰」の更に向こう側が見えてくるのではないかと思います。
     長々と済みませんでした。忌憚なきご指摘いただければと存じます。
     610先生の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます

    ※すみません匿名にしないとコメント投稿出来ないみたいで、googleがいま一つ機能しなくて・・・。

    Anonymous

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