剣道家をめざすセンセのぶろぐ。

「師弟同行」教うるは学ぶの半ばなり、、、どちらもまだまだです。

2012年 剣道用具考

竹刀は植物系…続・竹刀の基礎知識(お手入れ編):ヲタクっぷり[31]

なかなかいい色になります。
なかなかいい色になります。

ご無沙汰してますと先月書いたにもかかわらず、また1ヶ月放置してました。

さて、先月にコウシした、その剣道界の全国統一テストが先般行われましたね。

> 拙ぶろぐ:勉強会でコウシしました…メモ「段位・称号のこと」

皆さん、とくに講習を受けていただいた方々が全員合格ならいいと願っています。
ダメならクビかな、、、結構勉強するいい機会だったなと今では思っていますし、もっと勉強しないとなと思っています。ちなみに、会報誌に出ていた出題範囲と違う場所が出たとかでないとか・・・という情報もありますけど。

さて、日々寒くなってますね。
寒いだけでなく、乾燥の時期でもあります。
竹刀が割れる、折れるといった話がちらほら出てくる時期です。

まず、拙ぶろぐのナンバーワン記事が以下、竹刀のことです。
今回はこれの番外編という感じで書いてみます。

> 拙ぶろぐ:竹刀をえらぶ基礎知識:ヲタクっぷり[13]

竹刀の手入れ的な話をしていきたいと思います。
ちなみに、経験談からの話ですので、科学的検証はありません。

竹刀は植物系なので、、、植物には植物性油がイイ!ってことです。


実は前述の「竹刀をえらぶ基礎知識」ポストで、書いていないことで、竹刀にとって非常に重要なのは、「溜め」だったりします。
昨今では機械で制作しまうこともあり、ひとつひとつの竹のこまかい性質に合わせた溜めというのもないと言われています。
溜めとは曲がった竹を真っ直ぐさせる技術なのですが、これはなかなか見極められません、、、わたしもです。
でも、特に竹がねじれて、隙間があいているようであれば、当然、力の向きが変に作用しますから、折れる・割れることとなり、操作するにもも良くないんですよね。
最初はよくても、使っているうちに溜めの甘さが出てきてしまうものもあります、、、昔の名人の作品にはこのようなことがなかったとか。
削りの上手さとともに、剣先から吹き込んだ煙がもれないとか、水を垂らしても出てこないとかいうことがあったという噂もあります、、、ホントかな(?)
以下ポストの写真はもうかれこれ40年以上は経ってるもので、特に手入れなくおいてあるものですので、その名人の域というのが感じられるかもしれませんね。

> 拙ぶろぐ:木を見て森を見ず〜竹刀の付属品から〜:ヲタクっぷり[27]

もし溜めのくるいのヒドい場合は、解体して、竹の1ピースずつ、折れないようにゆっくり曲げて、溜めなおすってのもいいとおもいます(ただ、自己責任、折れないようにしてください)。
多くは、表側に反らせるようにすると胴のひらきは改善することがあります。

溜めについては、ホントに職人さんに出てきてもらわないことがおおいので、ここらへんにしておきます。

先の大学の全国大会では、手を加えたわけでもないのに、胴の部分が開いたものは危ないということで、検量が通らなかったと聞いています。
これ自体は大会の事前に知らされてるわけでもなく、規則にも明文化されてないなど、こういう運用に関してはやや問題がありそうですけどね。

また、意図して軽くするため削ったものが危険であるという見地は、製品の安全管理、最近でいうSSPとかからは悪くないと言えますが、いきなり選手側にこういうことするより、剣道界全体として、用具メーカーと協議され、改善されることをのぞみたいですね、、、一方で安全が担保される手入れ(改良もふくむ)なら是非すべきともおもいます。
ただ、手入れと改造との線引きの難しいところでもありますが。

さて、わたし自身、今年の夏前に数年使っていた銘柄から竹刀を別のものに変更をしました。
竹が弱くなってきた、削りが少々変わってきた、溜めが甘くなってきたということからなんですけど、、、
こうなると強度もそうですが、胴の部分がひらきレスポンスもいい道具とは言えなくなってきてしまったのです。

また、わたしの場合、車での移動がメインで、積んでおくということもあり、竹自体の性質もあるのでしょうけど、環境があまりよくないのもあります。
今年の夏の車での乾燥が異常でした、以前のものはそこまでなかったのですが、今回変更したものは重さもなくなってしまい、しまいには溜めも狂って、胴の部分があっちこっちに向かって・・・

ということで、先ほどの開くからダメといわれても、故意ではない場合も多々あるわけなんです。

で、わたくしも買い替えるなんてリッチなこともできないので、手入れを少し考えてみました。

ちなみに、現在の竹刀製作工程はオートメーション化というのでしょうか、前述ブログの取り上げた下記の工程ではありません。

>サイエンスチャンネル:THE MAKING(237)竹刀ができるまで

つまり、手で、カンナやナタで削るというより、サンダーで削っていくことが多い。
そのため、柄の部分はボンドでしっかり止めて、削られていきます。
ユーザーの手元に来る時もこのまま、、、そうです、4枚に割って、力をのがす意味がなくなっているのです。

ここをはがして、仕組みをしてくれるようなヒト、店でないとダメですよね。
近年では組まれているものすら輸入されていますから、知らないで使っている場合も多いかもしれません。
作りおきの竹刀ばかり扱っているところには、やや構えてしまいます。

なお、ここをはがすと、実はつくりの甘さが出ることもありますね。
その時は、以下柄革でキメてみてください、、、

> 拙ぶろぐ:柄革をキメる!:ヲタクっぷり[7]

shinai-oil

さてさて、手入れの話にもどります。
まずはあまりにも重さをなくしたので、油分と水分をいかに与えるかということに。

竹刀を購入した時に包んでくれるビニール袋は、「大切にする派」です、わたくし。
今回は、市販の竹刀油をたっぷりかけて、さらに霧吹きで水分も与えて、この袋に密閉したんです。
ただ、先革や柄革、中結の革製品にはよくないようで、ビショビショになってしまいました、、、ここは浅はかでした。
はい、革にはよくありません。
また、重さ的にも一時的にはもどったのですが、袋から出したら、元に戻ります。

ここで、竹刀につかう油についてすこし考えてみました。

いわゆる市販の「純正」とうたってるものを使ったのですが、、、これ、成分書いていないんですねぇ、、、こいうことはいいんでしょうかね。
で、これはですね、サラッとしてるのはいいのですが、どうも揮発してしまうような感じで、今回の期待する効果を感じません、滑りをよくするということなのかな、ねらいは。

そこで、原点回帰、竹刀油などなかったときによく使っていたゴマ油を使うことに。

使う寸前に塗ったら、それは相手に失礼ですので、使い終わったあとなど、タイミングをみつつ、たっぷりたっぷりと塗っています。
この枯れていく時期に、一番軽かった時より30gちかくは重くなりました。
そして、溜めもまっすぐに戻ったこともあり、胴の部分の隙間もなくなりました(冒頭の写真参照)。
重さも戻ったこともあり、強くなった感はもちろんですし、粘り強くなった感もあります。
すばらしいです!

やはり、植物には植物性油があうのかなと、、、確信しています。

ゴマ油は色もいいです(冒頭写真)、アメ色っぽくなります。
サラダ油でも、椿油でも、刀につかう丁子油でもイイともきいたこともあります、本当なら竹油がベストかもしれません。
全部植物性の油です、どんどん高価になってますが。

一方、竹刀職人さんには、自転車に使う機械油がいいと言われる方もいます。
こうなるとポイントは、油の粘度かなともおもいます。

まぁ、安価で一般的に手に入りやすく、手についたりしても気にならず、こころおきなく手入れできる点ではやはり植物性油でしょうね、、、ということで、植物には植物ということにしておきたいとおもいます。

あと、できれば、油を塗るときには、付属品の革にはあまりいい影響はないようなので、外すべきです。
また、ヒモなどでしめて、合わせがよりよくなることを期待してもよいようです。

さらに、昔からいわれていますが、節から節まで竹の繊維が通っているわけですから、節の部分にワタや布で油を染ませたものをあてて、保管しておくと、竹刀の竹全体に油が行き渡るといわれています。
これは、実際やったことがありますが、ただ油を引くより、効果はあるようです。

とにかく、根気よく、植物性油をあたえていくのが、もっといいようですね。
こうなると、安い油でないとできませんね。
わたしは、ゴマ油、、、頑張りすぎるとバンバンジーが恋しくなります。

なお、前述「竹刀をえらぶ基礎知識」のポストにも書いたように、パラフィンのようなコーティング塗装がいまの竹刀にはされてしまっているので、竹の皮にあたる部分はいいとしても、削った部分からすら、油を吸い込んでくれるような感じはありません。
かるく、削ったほうがいいと思います、竹のカドをとるという意味も含めて。
冒頭の写真参考ですが、竹刀の打撃痕、傷ついているところから油が入っているのがおわかりかと。
ですから、削ってもなかなか取れませんけど、あのコーティングは取るべきと考えています。

※これがないと軋んだ音がするらしいんですね、、、それは現竹刀製造サイドの技術のなさでもあるかな。
※輸入上のなんらかの制限とも聞いたこともあります、、、材料ではなく、半製品でないといけないとか。
※SSPの適応に関してはここでは度外視ですけど。

手入れのことをご紹介しようと思ったんですが、その手入れのことと安全規格とルールとがなんか連携していないことに不安をいだきつつ、ドコいくの??ってポストになってしまいました。
もうすこし科学的に書かないとなと反省しつつ、終わりにしたいと思います。

 

 

<2012/12/25 追記>

このぶろぐやいろんなことでお世話になっている方が、このポストを読んで、実験をしてくれたのが次の写真です。
2週間使った竹刀と、2週間使わずに竹の節からゴマ油を染み込ませた竹刀。
同じ銘柄、同じに購入した竹刀だそうです、、、こういう実験はステキですねぇ、一目瞭然です。

2週間使用した竹刀とアブラを与えた竹刀
2週間使用した竹刀とアブラを与えた竹刀

 

<2014/11/06 追記>

以下のようなポストをかきました。
植物系ではなく機械系です、、、このポストの否定になるかもしれませんが、いろいろな知見は変わっていくということですかね。
かなり一部では反響をよんでいます、お試しあれ。

> 拙ぶろぐ:基礎知識じゃない(?)竹刀のお手入れ編:ヲタクっぷり[36]

<2017/03/14 追記>

油については、「酸化」しにくさも重要になりますね。
つまり油そのものの問題、、、とあるところで学びました。
そういうことで、高級な椿油とかオリーブ油とかが言われてるんでしょうね、、、さらには機械油も。

まだまだ勉強です。

Share Button

1 コメント

  1. 私は竹刀の専門家です。まず、矯めるとゆう、認識が、違っています。削り終わった竹刀は、矯め直しなんてできません、そもそも竹を、6つ割にしてみると、ふしごとに、くの字に、多かれ少なかれ曲がっています、これを矯正するのが、矯める作業です、よく、竹刀のピースの裏側が、横に、割れが入ることがあります、これを矯め割れと言います。む

返信する

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください