剣道家をめざすセンセのぶろぐ。

「師弟同行」教うるは学ぶの半ばなり、、、どちらもまだまだです。

2012年 修行指導 剣道論

「重心を変えずに、、、」って指導は道理か否か。

とある講習会の1シーン
とある講習会の1シーン

2012年初ポストです、、、拙いものばかりですが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、SNSをとおして、バイオメカニクス(バイメカ)という研究分野の方々と会ってお話をすることが多くなったり、その界の人を新人(?)として弊社にを迎えることもできたり、とても勉強になっています。
仕事柄、この分野ももっと勉強しないとなぁというのが素直な感想、、、まぁ、若い時にもっとという類いですね(汗)

その中で出てきた、彼らの最近の流行語は「物理違反」とやら、、、。
とある方面から、国やらスポーツの発展を背負う研究やサポートをしている人たちが、「論理的ではない人を論破することはできない」ような、不毛な議論をふっかけられているとか、、、まぁどこの世界も似ているかもしれませんけど(汗)
彼らが絡まれている話を幾つか散見しても、こちらは何を言っているかさっぱりわかりません、、、(ムズカシイではなく、わからないのですww)、、、ですので、これはおいておき、このポストの本題に入っていきましょう。

基本的に、運動現象のすべては物理で説明されるべきでしょうし、その「違反」ってなに?、、、って考えてみました。
上記のわからない論争(?)はさておき、、、普通にありそうなんですよね、スポーツ界。

つまり、一般的に物理に違反するような表現は、剣道だけでなくスポーツ界では結構あるんじゃないかな、、、というのことなんです。

今回は、剣道の指導にかかる、‘ひっかかる’言葉、、、まず今回は以下のひとつ取り上げ、そこからいろいろと検証してみたいと思います(とっても簡単な物理からですけど)。

「重心を変えずに移動しなさい」


剣道は姿勢を大切にします。
構えている時も打突をしている時もですし、これは移動の仕方についての指導です。
この「重心」に関する指導上の言葉が、剣道の指導で一番の「物理違反」とでもいえるのかなと思っています。

この言葉を受けて、、、

「動けません」

とこたえる人はだれもいませんよねぇww

本来、これが正しいのに。
人間も物体ととらえた場合、「重心」が移動するから動くことができるんです。

まぁ、人間の「重心」は「臍下丹田」の近い位置にあるともいわれます、、、直立不動の姿勢ならです。

この指導自体は、この位置を変えないようにしろということでしょう、、、とくに相手と対峙した時の上下・左右方向に。
移動というのが相手に向かっての前後方向と捉えると、この「重心」の移動なく打突動作に伴う並進運動すら起こせませんから。

また、「重心」ということになると本来、竹刀を持って上に振り上げれば、上に位置することになりますし、前に出せば前になります。

したがって、こういう場合に「重心」という表現はいかがなものかな、、、。

これを「重心」という言葉を使って理路整然とわたしは語れないなぁと。

とある範士が、剣道における移動動作の指導にあたり、以下のように指導するといいと言っていました。
これはいろいろな意味で深くて、スゴいなぁ・・・と思ってます。

「眼(目)の高さを変えずに移動しろ」

そうなんです、剣道の指導者はこういうことを言いたかったはずなんです。
腰の高さでもいいんでしょうけど、目というところがホントにスゴイなぁ、、、 ちょっとした考え方の柔軟性が重要だなぁと。

以前、以下のぶろぐで「目付」のことを書きました。
眼による情報は人間の8割以上、運動時には99%といも言われています。
その受容体である眼の位置が変化するということは、視野から捉える情報を、相手の変化だけでない、余計な処理をしつつとらえないといけないことになりますから、よろしくないということになりますね。

> 拙ぶろぐ:「目付」:剣道の‘教え’を考える[5]

このぶろぐから眼の機能について少々理解いただけるように、「眼の高さを変えない移動」ということは、身体移動の際の基準とするということだけでない重要性があると思います。

では、なぜこのようなこと、「重心」というのをいいつつ指導するのでしょうかね???

剣道の競技スタイル・特性を考えるに、竹刀を握る左拳がヘソの近くであり、そこから剣先の延長線上が、相手の眼あたりにむかうように構えるため、道具の起点付近と一般的に重心という臍下丹田が近似した場所にあるともいえます。
この振りにも、移動にも起点となるあたりを意識をさせるという意味でもあるんでしょうかね、、、。

※経験上の話で確かではありません、、、このような点についての研究・調査はあまりないんです、教えを盲目的に受け入れるのが多い世界でもあるので。

ただ、「重心」ではありませんね、、、重要な点ではあるでしょうけど、、、。

剣道界で、つかわれている言葉でいうと、まぁ「ハラ」でしょうかね、、、
ただ、多くは身体的なことばかりでなく、精神的な意味合いをこめて「胆」をつかうとは思いますが。

また、「ハラから声を出せ」ともいいますね、、、そうすると、この付近への意識が高められるとも考えられますね。
そうすると、内的に移動動作にいい影響があると考えれば、声を出す効果のひとつといえることになるんでしょうかね。
※「気合」という方向にもってかれれば、それはそれで。

こうやって、「胆」という言葉に集約してくると、、、
「一眼二足三胆四力」、、、この‘教え’に合点のいくことになりそうです。

しかしながら、やはり剣道の移動動作の指導につかう「重心」という言葉の使い方は、物理学的・科学的に、そして世間一般的には間違いです。

一般的な言葉であるために、かえって剣道界をしらない大人には理解しにくい、子供には用語や表現すら間違って教えることになりそうで、コワいのです。

要するに「剣道界の常識、世間の非常識」ってことになりそうなことも、少々のコワさを感じているのです。
(大きな声ではいえませんが、こう言われていることが多々ありますからね)

剣道界では、剣道用語で剣道を理路整然とする先生方が多いのです。
また、擬音語擬態語で指導される先生方も非常に多いですね。
両者とも、それはそれで間違いないですし、、、

ただ、個人的には、ひろく一般に、そして科学的な用語を使うのが重要ではないかと考えます。

こういう剣道用語の問題についての一例として、以前「一拍子」ということについて以下ぶろぐに書きました。
多分、少なくないんです、こういうことは。

> 拙ぶろぐ:「一拍子の打ち」:剣道の‘教え’を考える[1]

もう一方の擬音語擬態語については、ある面では、武道は一子相伝的につたえてきたものである考えるに、それはそれでイイと思うのです。
ただ、しっかりと師弟の関係が成立していないと間違って伝わりますけどね。

こういう、師の息づかいとか、運動リズムやパターンなどを本当にいっぱいみたうえでないとわからないような指導とかが、本当にいいとは思っていますし、教えない指導というのもありと思っています。
こういう時点で、もう自分もどっぷり剣道界にハマっているということになりますね。

しかしながら、ウソはいけないと思うのです。
つまり、説明するときにはしっかりとした普遍性の高い「道理」を教えるべきだと思います。

先般、出稼ぎ先で剣道指導をしていて、「道理をおしえてくれるのがいい」とわたしの剣道ヲタク講座をよろこんでくれる受講者がいてくれ、かえって自分自身がうれしく思いました。
「道理」って大事だなぁと再確認したんです。

ということで、今回は物理の初歩の初歩からの疑問点でした、、、

結局ですね、またまたなにも解決していない、あいかわらず堂々めぐりのポストですね、スミマセン。。

ただ、「重心」というのを、このように使って指導していくことは、はたして普及発展に大丈夫なのかということへの小さな提言となればとおもいます。

この手のネタ、これからも考えてみたいと思いますね、、、
他競技でありましたら、どんどん教えて下さいね。
このブログでも追記などでリンクを貼って、ご紹介したいと思いますし、他競技での指導についても勉強してみたいと心から思っております、どうぞよろしくお願いします┏○

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4 コメント

  1. MJ1さん、いつもありがとうございます。
    今年もよろしくお願いいたします。

    まぁ、まずやれ!ってのも道理ですよね。
    ただ、あまり世代に分けて考えるのは同意できません、、、個性です、、、昔から私みたいなひねくれているのもいるわけで(笑)
    多分、真理は世代関係ないかなと???
    まだまだわかりません、いろいろと教えて下さいね。

  2. 最高です。
    610先生の切り口でのこの手のネタ・・・

    クビを長くして待っておりました!

    重心といえば、東海大の天〇先生のお兄さんが大学院で重心動揺計を使って実験していたのを思い出しました。

    剣道界で「動けません」と言った選手はどうなってしまうのでしょうか?
    そっちが心配です(笑)

    今後もこの手のネタを期待しております!

    野球では

    『開きが早い!』とはなんぞや?

    とか
    『軸』とはなんぞや?
    などの何となく使っているものが
    けっこうありますが!
    何となく雰囲気で「ハイ!わかりました!」と言っております。(汗)

    610先生
    「力を抜け」について610先生の考察を聞かせていただけませんでしょうか?

  3. 「動けません」…
    確かにそんな答えを聞いたことありません。

    私なら≪何のことかよく分からないけど、とりあえずやってみる≫という動きになりますねww

    目線の話をしながらだと分かりやすいし、あごが上がることがなぜいけないのか等の説明もしやすい。

    もちろん私も≪観て、真似て、体で覚える≫やり方も好きですし、どっぷり【それ】という感じもしています。

    しかし若い世代には先に答えや結果を求めるところがあると感じるところがあり、よりうまく伝えられるやり方を模索しているところです。

    今回のブログにも【なるほどぉ…】がたくさんあり私自身の勉強にとてもなりました。
    活かせるかどうかは別問題ですがwww

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